2007年2月27日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十六日】農地改革省と大統領府が二十五日、入植者数の目標設定の取り止めを検討中であると発表した。第一次ルーラ政権において四〇万世帯の入植目標に対し、実績は三八万一〇〇〇世帯に留まった。新たな入植計画を達成するため政府に強いられる政治的困ぱいは由々しいとして、第二次政権では数値目標の設定を行わない意向を表明した。大統領府は、農地占拠運動(MST)や農地改革院から実績賞与を受ける職員の抗議を覚悟の上とし、杜撰な農地改革に慎重を期するとしている。MSTグループは、さらに行動を過激化し揺さぶりをかけるとみられる。
大統領府と農地改革省は、MSTの横行を持て余しているようだ。第二次政権ではMSTに何も約束をしない方針らしい。ルーラ大統領が支援した農地改革であったが、第一次政権の農地改革について反省を行った結果、政治的負の遺産が大であったと出たようだ。これからの入植計画は、PT政権の行政計画から一段降格とするらしい。
政府は入植目標を達成するために、第二案であった北部地方の公有地入植を第一案に持ってきて、辛うじて実績まで辿り着いた。農地の接収は予定通りに行かなかった。この予定変更は、アマゾナス州の入植希望者だけを利し、南部や南東部、北東部の入植希望者を失望させたようだ。
そのため、ポンタウ・ド・パラナパネーマなどの係争地で掘建て小屋暮らしをする入植希望者にまで、手が回らなかった。二〇〇七年の入植計画は複数年計画の一五万世帯があるだけで、他の入植計画はない。数値目標の廃止とともに、国家農地改革プランの執行メンバーも変更される。
大統領自身が、第二次政権では農地改革の見直しを示唆した。入植後の実績調査を行い、転売目的や営農意欲のない入植者、期限が過ぎても入植しない者を摘発する。農地を売却し、しこたまの資金を懐にして去った入植者も多い。
〇七年は、放置から管理の農地改革へ移行する方針のようだ。これまでの烏合の衆をかき集めたMSTではなく、労働意欲のある入植者に限定する。入植後の作付け状況や生産技術の向上、生活水準の変化、子弟の就学状況などを調査し、国会へ報告する。
これまでの農地改革は、MSTのペースに振り回された。ようやく政府が農地改革のハンドルを取ったことで、財務省も安堵している。農地は年々値上がりする。政府は、時下相場で接収する。廉価で分譲された入植者が転売して大儲けをするので、本来の趣旨に沿わない。
一方、MSTはこれまでの実績とは関係なく、新たな占拠攻勢を三月から開始する予定だ。三月はメンバーを募り、四月に盛り上がりを見せる。以後一年間、波状攻撃をかける。
MSTの目的はルーラ政権とアグリビジネス、植林事業、遺伝子組替え種子企業へ揺さぶりをかけることとスポークスマンはいう。現政府は煮ても焼いても食えない代物で、圧力鍋にぶち込まないと煮えない。金持ちには気持ちよく応援し、貧乏人には鼻もかけない政権だという。