ホーム | 日系社会ニュース | 「伝統校」から「優秀校」へ=06年分、INEP発表=「赤間」(大学 受験生)成績、サンパウロ市内14位=詰め込み教育でなく=自分で考える力育てる

「伝統校」から「優秀校」へ=06年分、INEP発表=「赤間」(大学 受験生)成績、サンパウロ市内14位=詰め込み教育でなく=自分で考える力育てる

2007年2月27日付け

 並みいる外国系・民族系有名校をおさえて赤間学院(セントロ・エドゥカショナル・ピオネイロ=赤間エウザ澄子学院長)が今年(〇六年分)も最上位を飾った。同校はサンパウロ市内だけで千百八十二の公立・私立校が参加した〇六年度のENEMの学校別成績で十四位に入った。〇五年より二位アップ、公立校を除けば十二位の成績。「伝統校」から「優秀校」へと名実ともに言える成績だ。
 同試験は、ブラジル教育省の教育研究院(INEP)が全伯の大学受験生の学力を調べるために、九八年から実施。十科目、六十三問の質問と作文があり、五時間で回答する。成績の発表は昨年(〇五年分)からはじまった。
 このテストで「優秀」の評価を得るのは七十点以上の学校。この部類に入ったのは少数精鋭教育を掲げる一位、二位のヴェルチセ校、バンデイランテス校。有名校のエタッパ校、セント・ポール校(イギリス系)はそれぞれ六位と九位に入っている。
 全伯での同テストの公立校の平均点は四二・五五八点、サンパウロ州では四三・四七二点。私立校ではそれぞれ五二・七四六点、五三・四七三点。ピオネイロ校はこれらの数字を大きく上回る六三・三一点をとっている。
 同校につづいては十五位にI・Lペレッツ校(ユダヤ系)、二十六位にダンテ・アリギエリ校(イタリア系)、三十八位にフンボルト校(ドイツ系)、日系カトリック教徒が中心になって二八年に設立したサンフランシスコ・シャビエル校は四十六位、ポルト・セグーロ校(ドイツ系)は四十七位、日系のコレジオ・ブラジリア校は五六・二九点で百十一位の成績をおさめた。それぞれが四十点から六十九点までの「良い」の評価を得ている。
 同学院の赤間アントニオ晃平理事長は二十六日のニッケイ新聞の電話取材に対し、「とにかく嬉しい、生徒がよくがんばってくれた」と第一声で喜ぶ。成績の理由については「詰め込み主義の教育でなく、小・中学部のうちから自分で考える力を育てたことにある」と力をこめる。
 赤間エウザ学院長も「小学部では掛け算を教えない。自分たちで掛け算の仕組みを考えさせている」と強調する。同学院長の説明によれば、同校は試験のために特別授業をしていない。この方針は今後もかわらないとして、「社会人として恥ずかしくない人材を育てたい」と語った。
 同校の前身は、故・赤間みちへ氏によって一九三三年に創立した「洋裁学校」。一九七一年に連邦政府公認ピオネイロ校となり、教師は九十人近い数を揃える。そのほとんどが大学院修士課程を修了している。
 全校生徒は幼稚部、小中部、〇一年に発足した高等部を合わせて、約八百人。サンパウロ市内屈指の優秀校として知られており、昨年末に卒業した高等部三十二人中、サンパウロ大学、ウニカンピ、サンパウロ医科大学などに十八人の入学がすでに決まっている。詳細は後日発表される予定だ。
 同学院では、特に数学の教育に力を注いでいる。昨年、サンパウロ市で行われたサンパウロ州数学オリンピック大会では、六・七学年部門で金・銀・銅メダルを獲得している。日本語は選択科目で二割の生徒が受講しているという。