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簡易住宅販売に挑戦=リスクは購入者の債務不履行

2007年2月28日付け

 【エザーメ誌八八四号】安定した大きな需要があるのにゼネコンが手を出さない低所得者向けの簡易住宅に、TENDA建設会社が挑戦するらしい。低所得者層の債務不履行は二〇%に達し、中流階級の二倍以上。それに簡易住宅のローンが非常に不安定で、ローンの金利が乱高下するのが危険視される理由だ。
 TENDAのピント社長(32)は、カーザ・バイアとハビビ方式を取り入れて難問に挑む。両社とも低所得者を対象に経済的に無理のない価格を設定し、品質は信用第一をモットーとする。そのため、現金取引より高価になることは否めない。
 TENDAが設定した簡易住宅の月賦は、十年払いで四〇〇レアルを上限とする。住宅の規格は、キビ並みに標準化し量産でコスト・ダウンを行う。建築資材は工場で量産し、組み立て式にする。これで資材は五〇%安くなり、工期も半減するという。
 TENDAは二〇〇六年、前年比四〇%増の三億レアルを受注した。〇七年は前年比三倍の一万五〇〇〇軒を受注し、三億ドルを集めるために株式を公開することにした。中流以上向けで五〇〇万レアル級の不動産売買は、ここ二、三年がピークであろうといわれている。
 低調なブラジル経済から見て、そんなに富裕階級が新たに生まれるはずはない。庶民の食文化も変化した。台所は料理をする所ではなく、半製品を暖めるだけで大きなスペースは不要となった。全建坪で五〇メートル平方が主流になる。TENDAの影響を受けてゼネコンも簡易住宅の研究を始めている。
 殺風景な庶民住宅は投資家が敬遠とはいえ、年々六〇%増の成長産業である。理由は二つ。一は八〇〇万戸という慢性的不足だ。国民の三六%が簡易住宅を求める住宅事情。マンションに住める人は、三%に過ぎないのだ。二は簡易住宅への投資奨励がなかったこと。ようやく政府は、債務不履行による立ち退き住宅の再利用やFGTSの利用制度を緩和した。
 都市銀行は、メキシコ政府が取った住宅政策をモデルにした。一九九五年の金融危機でマンション建設が行き詰まり、政府は総力を簡易住宅へ向けた。メキシコ政府は年々、ブラジルの二倍に当たる七五万戸の簡易住宅を建設した。
 低所得層は大量解雇の嵐をまともに受けるので、債務不履行は二〇%と高率である。大量解雇が起きるのは、経済が停滞したときで、債務不履行の山は簡易住宅だけではない。不況時の債務不履行は産業界全般の課題で、企業によるリスク管理の問題である。