2007年2月28日付け
リオ・グランデ・ド・スル州カトリック大学の森口幸雄医学博士は老年医学が専門で、つねずね高齢者たちにこう言っている。「(援協の)巡回診療は、異常がないからといって、受けないのはいけない。健康だと過信してはダメです」▼博士は、ポルトアレグレの援協が実施している巡回診療の医師を無償で三十六年間つとめてきて、さきごろ勇退した。八十歳。同巡回診療は、夏季一回およそ二週間、走行距離は約六千キロ、したがって三十六年間で二十一万六千キロ、地球の五周り半にあたるそうだ。診療車にはエアコンがついていなかった。巡回班のメンバーにとっては猛暑との闘いでもあった。昨年度の最後の診療だけは、新車で冷房つき、快適だったという▼博士は、無償で巡回診療に尽くしたほかに、援協に対して寄付を行っていた。援協は会報『援協ニュース』最新号で「博士の強靭なボランティア精神にただただ頭が下がる」と書いて感謝した▼次に博士の最後の巡回診療の所見の一部を紹介する。基礎的な検査において(ブラジルの日系人は)日本の日本人の平均値より異常者が多い。特に尿検査において日本の十倍以上だそうだ。検査結果が正常な人はわずか五・四%にすぎない▼食事のすすめは「野菜、魚を多く取り、塩分をひかえ、肉が好きな人は一日八十グラム以内とすること」。博士の「塩ひかえ」の指示は厳しいことで知られている。健康で長生きを望む人は、老年医学の権威の指示を守るに如(し)くはない。(神)