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薬物検挙のブラジル人急増=警察庁=前年比5割の増加=在日外国人で最多に=国外逃亡は92人

2007年3月1日付け

 覚せい剤、麻薬などの薬物事犯で検挙されるブラジル人が急増している。警察庁の統計によれば〇六年の検挙者は百七十九人で、前年比約五〇%の増加。国籍別で最も多く、来日外国人薬物事犯検挙者の約二七%を占めた。刑法犯の検挙人数は二百二十三人と前年から五十一人減少したが、一方で侵入盗、自動車盗は増加。また、時事通信の報道によれば、昨年末時点の国外逃亡ブラジル人は前年の八十六人から九十二人に増加するなど、依然深刻な状況が続いている。
 警察庁が二月にまとめた「平成十八年の薬物・銃器情勢」によれば、昨年薬物事犯で検挙された来日外国人は六百五十九人。前年(六百八人)から五十一人増加した。
 ブラジル国籍者の検挙者(百七十九人)はイラン(七十八人)、フィリピン(五十九人)を大きく上回った。覚せい剤事犯が大半を占め、百四十三人(四十四人増)。大麻事犯が三十一人(十二人増)などとなっている。覚せい剤の場合、営利犯での検挙が一人しかいないことから、検挙者の多くは末端の使用者と思われる。
 また、イランが前年から二十九人、フィリピンが二十六人減少している中、ブラジル国籍者の検挙者だけが前年から五十八人(約五〇%)増加しているのも特徴だ。
 同庁の犯罪統計資料によれば、昨年一年間に刑法犯で検挙された来日外国人は千七十四人。前年(千二百十八人)から百四十四人減少した。
 ブラジル国籍者の検挙は昨年から五十一人減少して、二百二十三人。中国籍(四百六人)に次いで二番目となっている。
 薬物以外での昨年の刑法犯(重要犯罪)検挙者数を見ると、強盗犯が前年の百十二人から六十三人に減少する一方、侵入盗は三人増の四十二人、自動車盗は八十七人で八人増加した。
 国外犯処罰(代理処罰)に関して問題となっている外国人容疑者の国外逃亡は、時事通信の報道によれば、昨年末時点で六百五十六人。約八割が外国人だ。最多は中国人で二百一人。ブラジル人は前年の八十六人から六人増加して九十二人となっている。

暴力団とのつながりも

 同じく警察庁が二月に発表した「平成十八年の組織犯罪の情勢」によれば、ブラジル人が暴力団構成員と共に強盗、窃盗などに及ぶ事例や、ブラジル人が暴力団構成員となる事例も出ているようだ。
 また同資料では、各国からの外国人別の犯罪組織についても言及。ブラジル人犯罪グループについては「繁華街のクラブやディスコ等においてメンバー同士が知り合い形成される例もある」として、その活動範囲も「日系ブラジル人のネットワークを通じて広域に及んでいる」「少年犯罪が多いのも特徴」などと分析している。