2007年3月6日付け
ブラジル日本移民百周年記念協会(上原幸啓理事長)の理事会が三日午前九時過ぎから、同会議室で行われ、大幅に削減された記念事業総額が正式に承認された。これにより、後送りにされた箱物記念四事業の中でも、独自に金策を進めているところと全面的に日本政府に期待していた案件で大きく明暗が分かれてきた。さらに財務委員会から、寄付集めが始められたとの報告もあり、いよいよ本番に向けて体制固めが進み、機運が盛り上がってきたようだ。
最初に松尾治執行委員長から、一月末までに大幅に削減された記念事業総額が提示され、式典約二百八十万ドル(約三億二千万円)、日本文化週間約百十八万ドル(約一億四千万円)などを含め、総計で約七百三十九万ドル(約八億五千七百万円)が了承された。この中には、後送りが決定済みの四つの大型箱物事業は入っていない。
ノロエステ「ほぼ不可能」
ノロエステ連合日伯文化協会の白石一資会長の代理をかねて出席した加藤孝アラサツーバ日伯文協会長は、同地に建設予定だった文化センター構想に関して、「我々の記念事業はほぼ不可能となった。実現可能な新しいプロジェクトを検討しようと考えている」と口火を切った。
アラサツーバ文協は来年創立八十周年、同市も市制百周年を迎えるため地元での期待が高まっていた。
加藤会長は、ノロエステ案企画書の最後には「建設資金は日本政府の援助による」との条件が入っており、「それがないなら最初から不可能なプラン」とし、「今までの時間は無駄になった」と無念そうに語った。
「個人的な意見だが」とおもむろに立ちあがった渡部和夫顧問は、「四年前に我々が始めたときは、日本政府は全面的に協力するものだとの推測に基づいていた。日本政府が変わった」と一方的に落胆の表情を浮かべた。
日本政府は当初から箱物への資金は難しいとの発言を繰り返してきたが、日伯総合センター構想を推進してきた同顧問だけに、最後までその可能性を信じたかったようだ。
在聖総領事館の丸橋次郎首席領事も「あくまで個人的な意見」と断りながら、「かつて日本政府が箱物計画に資金を出していた時代もあった。今はそうではない。だからといって何も協力しないわけではない。できる形で最大限の支援をしていくのは間違いない」との立場を丁寧に説明した。
サンタクルス病院の横田パウロ理事長は会議の冒頭で、「病院独自に資金集めの算段を進めており、常に変化する社会情勢の中でそのチャンスは生まれている」との見解を説明していた。
四つの箱物案件の残り、新アルモニア日伯学園構想を進める和田忠義理事長も「我々は着々と募金を進めている。この四月末には起工式をしたい」と公表し、順調に計画が進行していることをアピールした。同構想第一段階の幼稚部校舎を来年六月までに完成させる予定だという。
ここへきて、建設費全額を日本政府に期待していた案件と、自助努力を進めていたプランで大きく明暗が分かれてきた恰好だ。
その他、吉岡黎明文化委員長から、前日にブラジリアで連邦政府の百周年実行委員会の農業部会に出席した旨が報告され、「農業に関するプロジェクトがない」との不足点を指摘した。
欠席した中矢レナート財務委員長の代わりに原長門総務補佐から、現状が発表された。念願の免税団体(OCSIP)の連邦政府登録について「近いうちに許可がもらえると確信する」と説明し、リブロ・デ・オウロ(奉加帳)がすでに再開されてまず執行委員会内で回されている件、すでに日系企業数社に寄付をお願いしに訪問した件などが報告された。
加えて、家賃や講堂使用料などの文協への借金が四万六千七百四レアルも貯まっており、今年中に返却する必要がある件なども説明された。
最後に、臨時および定期総会は四月十四日に開催されることも承認された。リオやバーレ・ド・パライバ、聖南西、モジなどの地方団体代表を含め、十八人が出席した。