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コラム 樹海

2007年3月6日付け

 経済は一流・政治は三流―らしいが、日本の政界は「言語狩り」が横行し、肝心な国政審議は隅っこに追いやられている。柳沢伯夫・厚労相が講演で「産む機械」と話したのは、確かに良くはない。大臣ともなれば、発言にも注意しなくてはいけないし、野党が大声を発して批判するのも解らぬではない。が、柳沢厚労相は陳謝しているし、事はここで幕引きが世の常識―▼ところが、幕はさっぱり下りずに女性陣はとりわけて噛み付きが激しい。そこへ今度は伊吹文明・文科相が「悠久の歴史の中で、日本は日本人がずっと治めてきた」と述べたのが問題化している。確かに―アイヌもいるし、日本は単一民族ではない。だが、原則的には「日本人による統治」であり、事揚げて議論すべきものではあるまい。文科相の「メタボリック症候群」に社民党・辻元清美氏が猛反発もおかしい▼伊吹大臣が語ったのは「(人権をバターに例えて)食べすぎれば人権メタボリック症候群(内臓脂肪型肥満)になる」とし「人権の乱用を戒めるのが真意だった」と時事通信は報じている。ここには批判されるようなものは一つもない。閣僚らの発言を捉え批判するのはいい。しかし、何でも非難ではおかしくなる▼どうも日本の政界にはユーモアやウイットに欠ける。故・渡辺美智雄氏には有名な「擬餌針」発言があり、社会党を痛烈批判し話題となったが、世は大笑いし永田町も頬を緩めてニヤニヤしたのである。宰相・吉田茂氏には「バカヤロウ解散」があったけれども、余りギスギスしたばかりではなく、笑いながらの政治ができないものか―と思う。 (遯)