2007年3月7日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】中国政府が今年の国内総生産(GDP)成長率を八%目標と据え置いたことで、経済成長の不確定要素の懸念が広まり、金融市場に混乱が生じ、世界的に株式市場の下落が波及した。先週二十八日には上海株が暴落し、世界的な株安の発火点となり、その後、戻して小康状態になっていたが、ここにきて再度波乱含みの展開となった。
この波及を受けてサンパウロ証券取引所(BOVESPA)の平均株価指数は五日、二日の四万二三六九・八ポイントから二・八一%下落して四万一一七九・二ポイントとなった。これにより二十八日の上海株暴落以来、下落幅は一〇・八%を記録した。
今回の下落での世界株の動きは香港株が四%安と最も打撃を受け、次いで東京株が三・三四%安だった。これにサンパウロ株が続き、以下順にアルゼンチン(二・六八%)、メキシコ(二・〇二%)となった。
上海株はさほど動揺を見せず一・六%安、米国のナスダック店頭株価は一・一五安、ダウ平均株価は〇・五三%の下落にとどまった。この背景には米連邦準備制度理事会(FRB)が何らかのテコ入れをして対応策を取るとの期待が込められている。
今回の株式市場混乱の原因は、五日に開かれた中国の全国人民代表大会(全人代)で温家宝首相が今年のGDP成長率目標を昨年と同じ八%に据え置くと発表したことにより、金融界に不安が広がった。
昨年の成長率は一〇・七%で飛躍的な伸びを示し、今年も同じ水準になるというのが政府をはじめ衆目の一致した見方となっている。しかるにそれを八%とすることは、政府はマクロ経済の成長に何らかの歯止めをかけて抑制策を講じるのではとの憶測が飛びかっているのが事実である。
また同時に同首相は官僚の腐敗が拡大していることに対し網紀粛正を挙げ、一部上場企業の会計検査を徹底的に行うことを表明したのも株価下落の後押しとなっている。
いっぽうで外国投資家の中国への注目度が急上昇し投資流入額がGDPの四五%に膨らんだことで、生産性のともなわない資金流入を批判する声も高まっている。こうした中で投機を抑制し需要の促進を唱える世論が高まっていることで、投資への規制実施も噂されている。