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トヨタ方式導入で猛特訓=伯企業、食品から病院まで

2007年3月7日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二月二十五日】ブラジルは今、自動車関係ばかりでなく食品から病院まで多くの企業が、世界一に躍り出たトヨタ方式の不良品ゼロ・システム(TPS)導入で猛特訓中である。七十年間にわたって自動車王国の王座に君臨してきたGMを駆逐したトヨタイズムが、ブラジル産業界の話題をさらっている。
 TPSが生み出されたきっかけは第二次大戦の賜物という。トヨタはTPSで国際競争力を磨き上げてきた。TPSは導入前に規律を徹底しなければならない。標準規格に合わないものは一切受け入れない。第一工程は不良品を第二工程へ絶対送らない。一工程での欠陥を次の工程で修正する融通性を利かしてはならない。
 乳製品の大手ダノネは二〇〇七年上半期、生産部門から幹部候補生を抜擢し、フランス本社に送り特訓に入った。候補生は品質管理の専門家であるが、原料供給元から最終消費者までの一貫工程管理を学ぶTPSを習得する。
 TPSを導入したら、具体的に何がどう変わるのか明白ではない。乳製品は自動車と異なり、短期間に変質する微妙な製品である。しかし、まずポッソス・デ・カウダ工場の生産工程改革を行い、続いてグアラチンゲター工場でも行う。
 これまで同社の製造工程は、原料搬入から出荷まで四十日間を要した。その間に包装などで多くの不良品を出していた。それで不良品ゼロを達成するという。TPSを導入したことによる生産性はどこも企業秘密にしている。
 ボッシュやゾーレルン、デールはTPSにヒントを得、独自の不良品ゼロ・システムを開発した。ボッシュは定刻に部品納入と基準統一のカンバン方式を採用。返品は以前、五〇万個に五〇個以上だったのが一個に減ったという。
 変速機のゾーレルンとラジエーターのデールは、時間と在庫が大幅に減少し、コストダウンにつながったと報告。従来は組み立て用部品の現場在庫は、当たり前であった。在庫がなくなると倉庫へ取りに行った。現在は定時に必要数の部品を小型カートが自動的に届けてくれる。
 米国民は米国のシンボルを失ったことで、TPSの勉強が尋常でない。銀行から保険会社、サービス業、病院など至るところがTPS病でうなされている。病院は三カ月で院内感染が九〇%減少し、年間五〇万ドルの経費節約になった。