2007年3月7日付け
サンパウロ市イブラプエラ公園内の日本館で二日、在サンパウロ日本国総領事館、ブラジル日本文化福祉協会、JET・BRASILの共催で「ひな祭り」のイナウグラソンが行われ、今年派遣のJETプログラム合格者の発表、紹介が行われたほか、太鼓や、三味線、着物の着付けが披露された。会場には、関係者ら約百五十人ほどが出席した。
今年は、日本政府が行っている「外国青年招致事業」(JETプログラム)が二十年目を迎え、ブラジルからの派遣者OB会であるJET・BRASIL(相良クリスチーナ会長)が企画、運営にあたった。
同プログラムは、「語学指導などを行う外国語青年招致事業」で、地方公共団体など地域レベルでの国際交流の進展を計り、諸外国との相互理解の増進を目的として実施されている。
毎年、ブラジルからの国際交流員は出稼ぎ子弟が在校する学校を訪問し、語学支援などを行うほか、地域に在住しているブラジル人の問題を聞き相談にのるなど、その役割は毎年さまざま。
今年サンパウロから訪日するのは米須メイリー(37)、エヴェルソン・エステケス・レーモス(29)、西園かおる・ソニア(28)さんの三人。
米須さんの派遣先は石川県の小松市・企画課。これまでは、ポルトガル語・英語の講師として言語を教えてきた。
同氏は以前、日本留学を経験しており、その間、神戸の移住センターを訪問した。
「コミュニュケーションができない親子を目にして、こういった問題が、現在、在日ブラジル人が抱えている社会問題に繋がるのではと感じた」と米須さん。
「小さなことでも知らないと困ることが必ずある。ブラジル人に日本のマナーを教えていきたい」と日本での抱負を述べる。
レーモスさんは、富山の知事政策室国際日本海政策課。
これまで国外就労者情報援護センター(CIATE)で、六年間、デカセギ希望者に日本語を教えるほか、日伯文化連盟(アリアンサ)で日本語教師をしてきた経験から、「デカセギが日本で抱える問題や、どういう権利があるかが多少は理解している。日本ではできるだけブラジル人と接触して、ブラジル人のためになりたい。帰国後は、同じ職場で、日本での吸収したことを生かしたい」と期待を語る。
「血が薄くなるにつれ、日本への関心が薄くなっている子供たちを見てきて、何とかしなければと感じる」と述べるのは、ピラル・ド・スール市で幼稚園で子供たちと携わる西園さん。派遣先は、埼玉県の教育局市町村支援部義務教育指導課。
日本の学校に溶け込めないブラジル人の子供も沢山いる。「日本の文化・習慣を子供たちに肌で感じてもらえたら」と期待を膨らませ、ブラジル帰国後も、「生徒たちに日本の生活を教えてあげたい」と目標を述べた。
三人は四月九日、日本に向けて出発する。
三月三、四の両日、午後三時・四時からは、劇団「オペラ・ナ・マーラ」による日本の昔話の人形劇も行われ、多くの人で賑わった。
イナグラソン当日、企画・運営に携わった相良会長は、「沢山の人に来てもらえた。日本文化を知ってもらえるとともに、JETプログラムのことも理解してもらえたのでは」と手ごたえを話した。
一九五四年に竣工した日本館建設に携わった原沢和夫さんは、「日本館はコロニア団結のシンボル。若い世代がこのようなイベントをやってくれてたのもしい」と感慨深そうに話した。
なお、日本館のひな人形展示は、今月の十一日まで行われている。