2007年3月8日付け
日伯の経済界関係者による「日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議」が今月発足した。両国有識者による「日伯二十一世紀協議会」が昨年まとめた両国の将来についての最終提言書のうち、経済分野に関する優先課題を選定するもの。今年五月にサンパウロで第一回目の会合が開かれる見通しだ。二〇〇四年の小泉純一郎首相来伯、翌年のルーラ大統領訪日を機に誕生した二十一世紀協議会。その提言のうち、まずは経済分野が具体的な動きを見せ始めたようだ。
「日伯二十一世紀協議会」は二〇〇八年の日本移民百周年、日伯交流年と将来の二国間関係について両国の有識者が意見を交換したもの。昨年七月に東京で、政治経済、文化、科学技術、環境、市民レベルにいたる両国の協力や人的交流の促進、在日ブラジル人問題など七分野五十六項目にわたる最終提言をまとめ、両国首脳に提出した。
外務省ホームページによれば、「日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議」は、このうち経済分野に関する提言のフォローアップとして、日伯経済の再活性化に向けた実現可能な具体的優先課題を選定することを目的に設置されたもの。
麻生太郎外務大臣は発足にあたり、「二〇〇八年は日伯交流年にもあたるところ、このような動きが日伯両国の関係強化に資することを期待する」とコメントを発表した。
同提言の経済分野では、資源・エネルギーをはじめ、バイオ・エネルギー、鉄鋼、通信、自動車など各分野での協力のほか、ブラジル・南米のインフラ整備への民間投資拡大も促している。また、「経済連携協定/自由貿易協定(EPA/FTA)を含む新しい包括的戦略についての研究や議論を促進すること」とあることから、今回の賢人会議設置もこれに沿ったものと思われる。
同賢人会議のメンバーは、日伯両国四人ずつからなり、日本側メンバーは、三村明夫(新日本製鐵社長)、渡辺捷昭(トヨタ自動車社長)、槍田松瑩(三井物産社長、日本経団連日伯経済委員会委員長)、森田嘉彦(国際協力銀行総裁)の四氏。
ブラジル側のメンバーはエリエゼル・バチスタ・ダ・シルヴァ(リオドセ社特別顧問)、カルロス・マリアーニ・ビテンクール(伯石油化学工業連盟会長)、ロベルト・ロドリゲス(前農務大臣)、リカルド・カンポス・ソアレス(ウジミナス社社長、在ベロ・オリゾンテ日本名誉領事)の四氏。
日本側座長は三村氏がつとめ、ブラジル側ではバチスタ氏が名誉座長、ビテンクール氏が座長をつとめる。
今後の予定としては、今年五月二十八日にサンパウロで第一回目の会合を開催。七月ごろに東京で二回目の会合が開かれる見通しだ。