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コラム 樹海

2007年3月8日付け

 国外犯処罰(代理処罰)の裁判の取材をしている時に、ふと思った。日系被告に集まる日本のマスコミ約四十人あまり、彼らは来年の百年祭記念式典にも来るだろうか、同じように大きく扱ってくれるだろうか、と。これだけ主要なテレビ局や全国紙が集まる事件はめったにない。裁判前などは連日トップ扱いで日本で報道された▼国外犯処罰の件が報道されるほど、「日系」や「ブラジル」という言葉には犯罪者というイメージが付加される。百周年を目前に印象が悪化することで、ブラジル側には何の利点もない▼私自身コロニア側の取材者として、どこか割り切れないものを感じる。むろん「不処罰を許さない」ことは大事だ。だが、深い絆で結ばれた二国間の節目の機運に水を差すのも忍びない▼日系学識者の中には、日本はこの問題を「第二の拉致問題」化して、国民の関心を何かからそらそうとしている、と推測する人までいる▼一方、サンパウロ州教育局は六百万人の州立学校生徒が日本をテーマにした学習をするVIVA・JAPAOというプログラムを打ち出した。世界の日本移民受け入れ国で同じような例はかつてあっただろうか。また東京都が傘下の公立学校に対して、ブラジルや移民を学習プログラムに決めることは考えられるだろうか▼百周年協会には当地の大手マスコミがこぞって百年祭企画を持ち込んでいる。最大手テレビ局のグローボ、大手出版のアブリウ社、教育テレビのクルツーラ。ブラジル側では積極的にメディアが、日系社会の存在価値を見直そうとしている。来年の両国メディアの報道が楽しみだ。(深)