2007年3月9日付け
ブラジル日本移民百周年協会の理事会が三日行われ、ブラジル大手メディアから続々と提案が持ち込まれていることが報告された。マスコミ最大手のテレビ・グローボが今年九月から百周年キャンペーンを始め、出版社最大手のアブリウ社も週刊誌『ベージャ』や経済誌『エザメ』『クラウジア』などの傘下十六媒体を使って積極的に記事を出し、さらに教育テレビのクルツーラからも七本のドキュメンタリー制作の申し込みがきている。商業ベースの企画に関して、実現するかはスポンサーの有無にかかっており、確実かどうかはわからないようだ。
TVグローボの企画書によれば、八月にリオで行われるパン・アメリカン大会が終わった後、九月から日本移民百周年キャンペーンを始めるという。
毎月、日本移民や日本文化に関係した「宗教と倫理」「茶道と生け花」「芸術、建築、文化」「教育」「先駆者」「テクノロジー」「野球、剣道」をテーマに番組を制作する。
同局の看板である特集番組ファンタスチコやグローボ・レポーテル、スポーツ番組エスポルテ・エスペタクラール、地域農業番組グローボ・ルラウなどでも扱うほか、ボンジア・ブラジル、ジョルナル・オージ、各種バラエティショー、さらにはノヴェーラでの展開もありえるようだ。
サンパウロ州以南の各州の通常チャンネルで放送するほかに、有料チャンネルでも公開する。特に日系集団地のある地域で、ニュースなどの地域独自の時間帯がある場合は、その地域の日系イベントや関連情報も伝えるという。
TVグローボは昨年末から百周年協会と交渉を始め、企画案に関して審議してきたが二月二十二日に承認した。グローボは大手広告代理店DPZと組んで、巨額な広告代金を負担するスポンサー探しに入った。資金めどが立った時点で、正式な契約を結ぶ。
□TVクルツーラ□
一方、〇八年六月十六日から二十二日まで七日連続で、教育放送のTVクルツーラ(サンパウロ州政府系放送局)も七本のドキュメンタリー番組の企画を同協会に提出した。
第一部「夢から現実へ」では、笠戸丸を導入部に、サンパウロ市に根付く移民や日系人の姿を描く。第二部「バーレ・ド・リベイラの日本人たち」では最初の日本人植民地やお茶栽培などの同地の歴史。第三部「理想の耕地」ではバレエ・スタジアムと交流事業を重ねるユバ農場の歴史。
第四部「聖美会」では半田知雄、間部学、大竹富江ら美術界の巨星を生んだ母胎である同会を回顧。第五部「マサオ・オオノ」ではブラジルでの俳諧普及に大きな貢献があった同氏の生涯。第六部「通商の絆」では七〇年代以降の日伯通商の流れを追う。最終回「デカセギ」では日本で直面している状況を描くという。
このような提案に対し、原総務補佐は「ありがたいことです」と喜ぶ。クルツーラとはまだ交渉中の段階で、承認されれば同社がルアネー法を申請し、認められた後にスポンサーを集め、制作を開始する段取りになっている。次回はアブリウ社の企画を紹介する。(つづく)