2007年3月10日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】ブラジル国内企業の四社に一社が中国製品の輸入に打撃を受け、競争力を失っていることが調査で明らかになり、改めて中国の脅威が浮き彫りとなっている。
これに対し工業界などでは国産品の保護政策を求める声が高まっているが、ルーラ政権が先に中国を国際貿易機関(WTO)に加盟させるべく経済市場参入国として認めて二国間協定に調印した以上、容易に輸入規制などの装置を取れない状態にある。これが中国製品輸入を助長させる要因となっている。
いっぽうでグロバリゼーションが進む中、大手企業のなかには中国製品に対抗するため、安い税制や人件費を活用すべく中国に進出して現地生産を始めているところもある。
輸入の影響がとくに顕著だったのは繊維、衣料、医療機器、日用品、靴などの業界で、全国工業連盟が加盟企業を調査したところ、五二%が国内販売が減少したとし、第一の原因に輸入品との競合を挙げている。
国内に限らず輸出市場も同様で、五四%が中国との競合に直面しており、その五八%は中国に客先を奪われたと回答した。
最も深刻なのが繊維業界で、七五%が国内市場の業績が悪化した。衣料部門も六六%だった。衣料部門では輸出の打撃が最も大きく、三一%が中国製品との競合に敗れて輸出を取り止めた。また六九%が客先を失った。皮革部門では三〇%が輸出から撤退。四〇%が業績悪化となった。製靴部門ではこの比率がそれぞれ二〇%と六五%だった。
さらに調査では、一二%が直接あるいは間接的に中国に進出して現地生産を始めていることも明らかになった。このうち七%は自社工場を持って生産、五%は第三者への委託加工となっている。これは中国の税制と人件費を活用してコスト・ダウンを図るのが狙いで、関係者によると、ブラジルの税制、経済政策などでは逆立ちしても競合できないという。
中国を生産拠点として世界各国に供給する、いわゆるグロバリゼーションは世界的傾向で、先進国ではすでに数年前から手がけてきた。アメリカ企業は現在四万八〇〇〇社が進出して生産の拠点としている。
中国との二国間貿易収支は、二〇〇五年はブラジルの一四億八〇〇〇万ドルの出超となったものの、〇六年は四億一〇四〇万ドルへと減少した。今年のこれまでの二カ月間では輸入が急増し、三億八九〇〇万ドルの入超で赤字に転じた。