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覚書の署名に留まる=伯米首脳会談を実施=エタノール関税撤廃は先送り

2007年3月13日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】中南米諸国五カ国を歴訪するアメリカのブッシュ大統領は八日夜、最初の訪問国となるブラジルのサンパウロ市に到着した。
 翌九日には同市でルーラ大統領と会談したものの、具体的な協定書を取り交わすことなく、両国政府の協力指針を盛り込んだ覚書に署名するにとどまった。内容は三項目に要約され、エタノール関係、アフリカ諸国の開発、世界貿易機構(WTO)の早期妥結となった。
 ブラジル側が最大の関心を示していたエタノール協定については、両国が技術開発で提携し、市場開拓を行うことで合意に達した。しかし、ブラジル側が従来から求めていたエタノール輸入税の撤廃については、当面あり得ないと否定した。その上で、現行のエタノール輸入税の制定は二〇〇九年までの期限となっており、期限切れの時点で今後の制度については議会が決定するものだとし、大統領がイニシァティブを取ることを拒否した。
 現行のアメリカのエタノール輸入税はガロン当たり〇・五四ドルとなっており、ブラジルは世界最大の消費国であるアメリカ市場に参入して、コモディティの世界市場に上場するのを狙いとしている。
 アフリカ諸国開発への援助はルーラ政権の基調外交路線でもあり、これにブッシュ大統領が同調した。具体的案件については、ルーラ大統領が三月三十一日にアメリカを公式訪問する際に協議されることになった。
 WTOのドーハ・ラウンドは長期間空回りが続いており、業を煮やしているルーラ大統領の希望で覚書に織り込まれた。混迷が続いている最大の原因はアメリカの農業補助金問題であり、これについてブッシュ大統領は明言を避けた。
 ブッシュ大統領のサンパウロ市訪問の総決算をすると、八日午後八時十四分到着、翌九日午後六時三十九分、次の訪問地のウルグアイ向け飛び立った。ブラジル公式訪問は一日に満たない二十二時間二十五分だった。
 空港からホテルまでの一行を乗せた車の数は三十四台に上り、随所が交通止めとなった。市内には武装警官一二〇〇人が配置されアメリカのシークレットサービス三〇〇人が随行した。反ブッシュ大統領デモが各地で展開されたが、八日に行われたサンパウロ市パウリスタ大通りのデモで十七人が負傷した以外、ほかの地域では被害がなかった。