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米国発、世界同時株安に=不動産株が暴落=ボベスパは3・39%下げる=伯経済は堅実に前進

2007年3月15日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】上海発世界同時株安から二週間が経った米国の証券市場は十三日、不動産株を中心に大きく下げた。米国抵当銀行は、二〇〇六年第4・四半期における抵当物件の競売が過去最高になったと発表。また不動産企業が発行する不動産株は、六五・一八%も暴落した。不動産クレジット企業は、決済資金が底をついたと発表。不動産取引は予期しない水準まで落ちた。サンパウロ市証券取引所の指数は三・三九%下げ、ドルは二・一〇四レアルへつけ、カントリーリスクは三・六六%上げた。米経済をけん引した不動産業界の景気後退は判然とし、世界経済を道連れにしそうだ。
 米国の不動産バブル崩壊が、新たな金融パニックの震源地として登場した。サブプライムで知られる米国のハイリスク不動産株が、今回のパニックの元凶といえそうだ。米国抵当銀行と不動産クレジット企業の発表が、不動産バブルの終焉を告げたようだ。
 経済開発協力機構(OECD)は、米不動産バブルの崩壊とブラジル経済への影響を次のように分析した。ブラジル国内市場の〇七年度見通しは、外的要因に耐える体力をつけたため、まだ余裕があるとみている。基本金利は引き下げ傾向にあり、消費と投資は上昇気流に乗っている。これは経済活性化の兆候と解している。
 OECDはブラジルの国内総生産(GDP)について、厳しい情勢下にあり予断を許さないとした。経済成長率は財務省予測の四・五%を下回る三・八%止まりとみている。財務省はここ数カ月、公共投資や経常費の管理で経済活性化に向けた数々の方針を打ち出した。ブラジルは米国のリセッションをよそに、堅実な前進を続けるとアナリストらはみている。
 米抵当銀行の発表では、第4・四半期の滞納者が一四・四四%に達したという。決済不可で競売手続きに回された不動産も急増。米国の不動産は価値が下落、支払金利は上昇傾向にある。不動産抵当市場の二〇%がサブプライムで、金額にして六兆五〇〇〇億ドルとされる。
 米不動産バブルの崩壊が、いつ堤防を決壊させ、世界経済へ流れ込むか分からない。米不動産が米経済へ及ぼすインパクトを調べるLB銀行のブラジル担当は、消費の冷え込みと米経済成長率の減速は覚悟すべきだと警告した。
 そんなことが起きれば、世界の流動資産は全部、下方修正させられる。インパクトには二つの流れがある。第一は金融機関。会社の発行株や銀行融資などの業績が下方修正を余儀なくされる。第二が発売中の不動産。売買契約の解消が激増するため、市場は契約解消物件の洪水で、不動産価格は暴落する。
 不動産価格の暴落は雪だるまの始まり。これが世界恐慌へつながらないことを祈る。その対策として十年以上をかけて徐々に、不動産価格を落としていくらしい。過去数年間の米景気は、過熱化した不動産取得に支えられてきた。値上がりする不動産購入のため、猫も杓子もローンを組んでいた。