ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 治安維持目的の基金設立=上院委員会が決定=警官の訓練と被害者救済に

治安維持目的の基金設立=上院委員会が決定=警官の訓練と被害者救済に

2007年3月16日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】上院の憲法法務委員会は十四日、凶悪犯罪防止および公共治安維持のための基金を設立する法案を採決し、国会に上程することを決定した。同委員会では、今月中に上院の議決を得て下院の審議に回したいとの意向を示している。
 この法案は治安強化に向けた警官の特別訓練を目的としたプログラムの作成と、犯罪の犠牲となった当人および家族に金銭的援助を施すのを狙いとしており、二〇二〇年までに年間二五億レアルの予算を計上する。発案者によると、二〇二〇年までに政府が治安を浸透させることが前提となっているという。
 事件に巻き込まれた被害者には様々な援助が用意される。その一つが特別住宅クレジットで、先にサンパウロ市モエマ区イビラプエラ大通りで銀行襲撃犯の流れ弾に当たり、終生車椅子生活を強いられることになった十三歳の少女の家の改修費用などが対象となる。(イタウー銀行が厚意で前面負担を申し出て事無きを得た)。また被害者のリハビリや医療費も援助される。
 とくに銃器による後遺症に悩む人などが対象となる。さらに家計を支えていた人物が死亡した場合には遺族に生活扶助が適用される。このほか家族に対する奨学資金の配布、職業訓練、就労の援助なども織込まれている。
 いっぽうで警官の訓練、質の向上は州と市の責任となり、特別プランの確立が要求される。しかしこれに対し資金の確保が問題になってくる。政府では増税で賄うと表明している中で、州では商品サービス流通税(ICMs)の二%アップ、市ではサービス税(ISS)の〇・五%アップを早くも視野に入れている。いずれにしてもツケは市民に回ってくることになる。
 法案の原案者であるマガリャンエス上議(通称ACM)は、政府は昨年の治安対策予算の五億七〇〇〇万レアルの二三%に相当する一億三〇〇〇万レアルしか執行しておらず、怠慢だと決めつけている。ブラジルは年間五万人が殺人の犠牲となり世界最高となっており、早急な対策が必要だと指摘している。