2007年3月17日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】ルーラ大統領は十五日、全国の学校に目標達成と成績評価システムを設定し、文盲撲滅運動の効果を確認する教育推進計画を発表した。ブラジルの教育制度は、六歳から五年間就学しても必要な学力が身につかない、世界最低レベルのシステムであると大統領はいう。政府は、学童の学習放棄を避けるため生活扶助金制度の対象を十七歳まで引き上げる計画だ。さらに教師の質向上や通学の交通手段、IT教育、情操教育、託児所の増設などを教育推進計画に盛り込んでいる。教育と医療充実のため、政府は実力者を起用する考えだと述べた。
ルーラ大統領はアダジ教育相を人形に見立て「神様は人間に、耳を二つと口一つをお与えになった。これはくだらないことを言うより、もっと聞いて学べという教えである」と講釈をした。世界最低レベルのシステムから学校を救うため、教育改革に大なたを振るうと大統領は述べた。
政府は、二〇一〇年までに八〇億レアルを教育推進に投じる。〇七年度予算一〇億レアルのうち、既に六億レアルを調達した。目標は失地回復だ。ブラジルの学童は通学するが、何も習得していない。勉学の重要性が分からず学業を放棄し、無知無学の人間がやたらに増殖している。
計画案の目標達成は、全国の小学校に一〇点を満点とする学力評価基準を配布する。計画への参加は強制しないが、申請すれば指導員や教材、器具、資金を政府は提供する。指導は十六項目からなる要綱で、契約書が交わされる。
学力評価は、教育省が制定する六歳から八歳の識字水準の評価基準が提示される。各国で行われている国語(ポ語)オリンピックのシステム導入である。
教師の質向上は、教師の基本給を八〇〇レアルとするもので、下院の表決待ちだ。教師は基本的に大学卒業者。大学を卒業していない場合は、三年毎に検定試験を受け、順次、教師課程に匹敵する資格を取得する。
師範学校を主要都市に一五〇校設立し、毎年二〇万人の教師を育てる。また国立専門学校を設立し、技手を養成する。研修制度を設け、短期訓練も行う。
大学改革は、英才教育の一環として全費用の五〇%を奨学金とし、残りを政府が融資する。政府の学費融資は、期限を十年以内とし、卒業後に給与から差し引き分割払いとする。奨学金は、入学以前の債務決済充当をも認める。
他に数々の案がある。一、〇七年は一五〇〇人の大学院生費用を政府が負担する。二、生活扶助金は対象を十七歳まで引き上げ、初等教育を終了すると褒美に国債を付与する。三、農村にもIT教室を開き、インターネットにダウンロードができる。四、通学用バスは、一切の車両税を免じる。五、中高生向けの情操教科書を発行する。
ズサンな医療行政を行うなら死人の山をつくり、ズサンな教育行政を行うなら文盲の群れをつくると大統領は言った。誰も自分は絶対正しいと主張できないし主張したくもないが、ただ多数の教育専門家の発案に基づく教育改革はブラジルに絶対必要だと大統領が訴えた。