2007年3月17日付け
来年のブラジル日本移民百周年に向け、造型作家の大竹富江さん(93)が記念モニュメントの製作を進めている。場所はグアルーリョス国際空港とサントス市。作品はそれぞれ、高さ九メートル、十五メートルになる大きなものだ。グアルーリョスでは先月末に寄贈に関する契約に署名、今月八日にはサントス市長、サントス日本人会関係者に作品の模型が渡されている。日系造型作家の作品が、ブラジルの空と海の玄関に――日本移民百年の節目に花を添えるニュースだ。
ブラジルの空の玄関口、グアルーリョス国際空港(Governador Andre Franco Montoro)。同市では〇五年五月に市の百周年委員会が発足しており、今回の彫刻制作は記念事業の一環として行なわれる。
寄贈に関する契約の署名式は先月二十八日、空港内のブラジル航空インフラ業務公社(Infraero)事務所で、グアルーリョス文化体育連合のフェルナンド・ムクノ会長と、同公社のエドガルド・ブランドン専務との間で、丸岡ジョゼ・カルロス同市議など関係者同席のもと実施。ブランドン専務は、世界的に著名な大竹さんによるモニュメント製作を意義深い顕彰事業と話した。
赤に彩られた円形のモニュメントは、直径約八メートル。設置場所は同公社により提供される見込みだ。
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多くの日本移民が新天地での第一歩を踏み出したサントス。ブラジル有数の港をもつ海の玄関口でも記念モニュメントの準備が進んでいる。
こちらも赤のモニュメントで、高さ十五メートル、幅二十メートルの大きさ。場所はサン・ビセンテとの間にある埋立地、ジョゼ・メニーノ地区が候補に挙がっている。
資材などはクバトン製鉄所から提供される予定だ。サントス市側も積極的な姿勢を見せており、今月八日には同市のジョアン・パウロ・タバレス・パパ市長が、サントス日本人会の遠藤浩会長、丹治七郎渉外担当など関係者と大竹さんを訪問。モニュメントの模型が手渡された。
来年六月にサントスで予定されている百周年式典をめどに製作を進めるという。遠藤会長は「百周年の節目にモニュメントを寄贈していただけることは、たいへんありがたいこと。サントスの名所になると思います」と喜びを表わすとともに、「市役所も一生懸命やってくれています。ぜひ盛大なイナウグラソンにしたい」と話した。