2007年3月22日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】下院法制委員会で航空管制CPI(議会調査委員会)の設置を巡って議論が白熱する中、与党労働者党(PT)は二十日、連立与党ブラジル民主運動党(PMDB)の協力により抵抗する野党をねじ伏せ、同CPI設置法案を廃案へ追い込んだ。同案は下院執行部へ回されるが、野党は最高裁判決の前に法制委員会による不本意な流れを阻止しようと考えていた。一方、自由前線党(PFL)は会計検査院(TCU)の四部にわたる報告書を添付し、空港インフラ整備公団(Infraero)の不正疑惑の捜査を検察庁へ要請した。
法制委員会は、罵倒や暴力で混乱した。しかし、PMDBの協力で結成された大連立与党は、野党を蹴散らして動き始めた。空港インフラ整備公団の不正疑惑も野党の攻撃材料に使われたが、表決の結果、三十九票対二十一票の大差で航空管制CPI設置は一蹴された。
法制委員会はピシアニ委員長(PMDB)の議事で始まったが、政府に有利な作為的進行を野党は非難し、委員長をイカサマ師と呼んだ。委員長は野党議員をチンピラと反撃。レデッケル下議(ブラジル民主社会党=PSDB)は一目散に議長席を目指し、ピシアニ委員長の首をつかんだ。「チンピラとは何だ。謝れ」と怒鳴り、それをカルネイロ下議(PT)が抑えこんだ。委員長も凄んで見せた。
議論が平行線をたどったため、委員長は強引に表決へ持ち込んだ。連立与党は、民主労働党(PDT)を除いて全員足並みが揃った。これでPMDBの底力を見せつけたが、野党からは八百長呼ばりされた。PDTは社会保障院総裁の席を割り当てられたが、まだ推薦人が出ず、最終確認に至らないので態度を保留にした。
野党が目論んだ航空管制CPIの爆弾倉庫には、会計検査院(TCU)の空港インフラ整備公団に対する不正告発もある。TCU告発の根拠は犯罪を立件する材料として正当性が弱い。TCUの告発は陽動作戦のために打ち上げたらしい。まず航空管制CPIを設置し、野党はジワジワ掘り下げる方針であったようだ。
同公団は、牛の群れを渡河させるためピラニアに食わせる犠牲牛といわれる。同公団を叩けば、よく太った悪い牛が出てくるはずである。検察庁は三月一日、同公団総裁のペレイラ中将へ五日以内に告発の説明を求めた。同中将は要請を無視した。
同公団の工事入札は落札企業が一定しているので、長期にわたる談合を疑われていた。カマルゴ・コレイアが落札し、下請けや孫請けへ回す仕組みになっている。同公団の歴代総裁と管理職は、芋ずる式に引き出されるとみられる。
ルーラ大統領は、航空管制トラブルに解決の目途が立たないことで、国防相の交代を検討していた。まず白羽の矢が立ったのは、レベロ前下院議長(ブラジル共産党=PCdoB)。前議長に一度、国防相就任を打診した。しかし、同前議長は、議長再選に挑むため国防相を断った。
実務経験に弱いピーレス国防相は、辞任の意向がないらしい。大統領の旧友でありPTファンでもあるから、泣いて馬しょくの首が切れるか。