2007年3月22日付け
北パラナ・マリンガの日本庭園建設予定地(今はただの野原)を見てきた。JICA派遣の造園専門家、川下滉さんによれば「一年前でこれなら日本じゃ完成しませんね」と妙な太鼓判(?)を捺すが、市長は「完成させる」と凄い勢いだ▼川下さんの話で興味深かったのは樹木の選び方だ。日本庭園だから日本から木を持ってくると単純に考えていたが、「日本から持ってきても気候が違うから育たない」と一刀両断▼つまり、ブラジルで自生する木で日本庭園を造る。木は国産でも、植え方や造園手法しだいで日本庭園になるとは目からウロコが落ちた。五%分の木だけサンパウロ市から松などを持ってくるが、それ以外は近郊の木を調達する。六百トン分の岩も近隣からもってくるとか▼してみると、日本庭園というのはなんだろうと思った。考えてみれば日本料理だって、材料はブラジルでとれた野菜や魚で、料理方法や味付けが和風だ▼「どんな金をかけた庭園でも、できたばかりは見栄えが良くない。最低五年はしないと」。桜祭りなどのイベントで使いやすい配慮をし、数十年後の姿を想像して木や岩を配置する。さらに「後々の管理がしっかりしてないと別物になる」という▼事実、同市のインガー公園内の日本庭園には、当初にはなかった太いヤシの木が生えているとか。「やっぱりヤシの木と日本庭園は似合わないネ。でも一旦生えちゃうと切るわけにもいかないようだし」▼だから、今は枝の手入れの方法を地元の大学生に教えている。「ボランティアを作ってるんですよ」という。〃庭園より人を作れ〃ということか。日本庭園だけに奥が深い。(深)