2007年3月23日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】ブラジル人は健康からほど遠い生活スタイルを送っているー。ショッキングな警告を発しているのがサンパウロ総合大学(USP)の研究グループで、保健省の委託でブラジル人の健康度を調査した結果によるもの。それによると十人のうちの三人は何ら運動をしておらず、平凡な家庭掃除で体を動かすこともなく、さらに四人は体重オーバー、ほかの四人は脂肪分の多い肉類を常食としている。また高脂肪性牛乳を飲み、反面で野菜や果物などの豊富な健康食の摂取に欠けている。これにより現在高率を示している慢性病が原因での死亡がますます増加していくだろうとし、健康の概念を変える必要があると指摘している。
研究グループは生活習慣を変えないと死亡率は増加の一途をたどると警告、食生活の改善と運動の促進が不可決だと主張している。現在ブラジルでの死亡の六一%は伝染病以外のものが原因となっており、なかでも二七・五%は心臓系統となっている。経済的には年間一〇九億レアルの金が、診断費、検査費、手術や入院費用として動いている。
これに対し、体を動かすことが単に体重オーバーや肥満防止にとどまらず、ガンなどの予防に効果があるとして、野菜と果物の摂取と合わせると健康的であると強調している。野菜と果物は高価なものが多く、一般市民の手に入らない時期もあるが、ブラジル食の定番となっている米とフェイジョンでも十分栄養が補給され、運動でカロリーを燃やすことで健康食になるともつけ加えている。
調査は各州都とブラジリア連邦直轄区で電話によるアンケート方式で行われた。これまではブラジル地理統計院(IBGE)が毎年行う家庭実態調査のみだったが、今回の調査も毎年加えて保健実態の公式データとなる。アンケート調査は七項目からなり、喫煙、運動、脂肪分の多い肉類の摂取、脂肪分の多い牛乳、アルコール飲料、肥満、体重オーバーとなった。
これらを総合した州都の健康度ランキングのベストテンはフロリアノポリスがトップで、以下順にパルマス、ゴイアニア、ブラジリア、サルバドール、ナタル、ベレン、リオデジャネイロ、ヴィトリアそして一〇位がサンパウロ市だった。
サンパウロ市の内訳は喫煙者が一八・八%、運動不足が二七・七%、体重オーバーが四四・三%、肥満体が一一%、アルコール飲料のとり過ぎが一二%、脂肪分の高い牛乳(インテグラル)の摂取が五八・三%、同様肉類が三五・八%だった。
項目別のベストとワーストを比較すると、喫煙でサルバドールの九・五%に対し、ポルト・アレグレとリオ・ブランコが同率の二一・二%、運動不足はナタルの三五・一%に対し、ボア・ビスタの二一・六%、肉類の摂取はサルバドールの二六・七%対パルマの五三・一%、牛乳はポルト・アレグレの四六・四%対リオ・ブランコの六三・七%、アルコールの飲み過ぎがクリチーバの一二・一%対サルバドールの二二・一%、肥満体がベロ・オリゾンテの八・七%対ジョン・ペッソアの一三・九%、体重オーバーがサンルイスの三四・一%に対しリオの四八・三%だった。
成年の体重オーバーはリオ市がトップで以下、ポルト・アレグレ(四七・九%)、クイアバー(四五%)、サンパウロが四四・三%、リオ・ブランコが四四・二%と高率で続いており、懸念材料となっている。
調査で注目されたのが喫煙者の減少で、国際保健機構(WHO)によると、一九八九年から二〇〇三年の間でブラジルでは世界でも有数の減少国となった。八九年は三五%の喫煙者だったが、現在は一六・二%となっている。