ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | スシ詰め状態の刑務所=逮捕者の増加に追いつかず=サンパウロ州

スシ詰め状態の刑務所=逮捕者の増加に追いつかず=サンパウロ州

2007年3月23日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】サンパウロ州で犯罪人の検挙が増加して警察の評価が高まる反面、収容する場所が不足して刑務所がスシ詰め状態になっている実態が浮き彫りとなった。
 サンパウロ総合大学(USP)の人権調査報告書が指摘したもので、二〇〇二年での逮捕者が一〇万六五六〇人だったのに対し、〇五年は一三万八一一六人と急伸し、全国ランキング二位のリオデジャネイロ州の五倍に達した。
 しかしこれに反し刑務所の増設は進展が見られず、約五万人に相当する四万九一二四人が定員オーバーとなっている。この間の収容人員の増設はわずか一万八五〇五人だった。
 サンパウロ州の服役囚は全国の三八%に相当、禁固刑は五八・三%で、パラナ州の七〇・八%に次ぐものとなった。このため刑務所職員が不足をきたし、〇二年では職員一人当りの囚人の数は一・一人だったのが、〇五年には一・三六人へと上昇した。
 このために囚人の管理が行き届かず、州都第一コマンド(PCC)が我が物顔に刑務所内を支配する破目となった。この背景には囚人の人権擁護を主張し、ことごとく刑務所のやり方を批判する団体の動きも影響している。
 いっぽうで青少年犯罪が今問題視されているが、〇四年に全国で補導された青少年三万九五七八人の五〇%に相当する一万九七四七人がサンパウロ州に集中した。中でもサンパウロ市タトゥアペ区の更正施設(これまでFEBEMと呼ばれていたがフンダソン・カーザと改称された)では、六三七二人が更正指導を受けている。
 報告書では殺人犯罪の減少も人権尊重の一環と定義づけ、二〇〇〇年からのサンパウロ州の人権運動の効果で、同年から〇四年までに殺人が三二%減少したことを高く評価している。このために同期間にミナス・ジェライス州で九三%、パラナ州で五〇・五%の上昇となったにもかかわらず、全国平均はわずか一・一%の上昇にとどまったのは、サンパウロ州の貢献が大きいと指摘している。