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ブラジル力行会=輩出した多彩な人材=創立90周年式典11月に=節目に向け準備開始

2007年3月23日付け

 多彩な人材を輩出して移民史を彩ってきたブラジル力行会(永田久会長)が、十一月十八日に創立九十周年式典を行うことが決まった。〇七年に創立百十周年を迎えたばかりの日本力行会からも慶祝使節団が来伯する予定。節目の祝典に合わせて現在、改修工事が進められるサンパウロ市内の力行会館(一九七〇年に完成)で、永田会長に話を聞いた。
 「コーヒーよりも人を作れ」という標語のもと、戦前に五百六人、戦後に約千二百十人が同会を通してブラジルにわたった。関係者によれば、「戦前は特に中産階級の子息で理屈っぽい人が多い」らしく、夢を追うタイプで最初から永住志向、プロテスタントの信仰を持つ人が目立ったという。
 ブラジル力行会八十年記念誌によれば、隈部光子ブラジル支部長に関する記事が同年に出された関係から創立日が一九一七年になった。同女史は、笠戸丸の二年前に家族を連れて集団渡伯した隈部三郎の長女だ。
 同会出身者はまさに多士済々だ。現役ではJACTO農機や西村農工学校の創立者である西村俊治氏、ロージャ・ニッポン創立者の林壽雄氏、経済報知紙の田村吾郎氏ら。
 過去には弓場勇氏らを中心とするユバ農場の創立メンバーの約十人、暁星学園の岸本昂一氏、勝ち負け事件の凶弾に倒れた野村忠三郎氏、長野師範を卒業後に渡伯して当地の師範学校も出て大正小学校で教師を務めた二木秀人氏、サンパウロ新聞主筆の内山勝男氏、歌人の岩波菊治氏、歴史学者の佐藤常蔵氏など、実業界の逸材から個性的な知識人まで多彩な人材を輩出している。
 同会の二世にはサンパウロ人文研の宮尾進顧問、元文協会長の山内淳氏、救済会会長の吉岡黎明氏。会員の孫娘には、日本で活躍する歌手のマルシアもおり、まさに人材の宝庫といった趣だ。
 同会の播いた種という意味では、コレジオ・アルモニアはその典型だ。前身であるアルモニア学生寮は、力行会有志が共同購入して寄贈した土地に建設された。土地だけ購入して、その後は運営母体に寄付するというやり方が〃力行会風〃だ。
 その学生寮の第一期生には渡部和夫(サンパウロ州高等裁判所元判事)、和田忠義(現アルモニア理事長)がおり、数々の日系社会のリーダーを生んできた。
 最初に力行会が播いた種が、結果的に自主独立の気風を育み、現在に至るまで健全な運営を続け、現在の百周年記念事業「新アルモニア日伯学園構想」を独自に進めるまで至った。
 今年十三年目を迎える力行会独自の研修制度により、約八十人の幼稚園や日本語の研修(一年間)をしてきた。九十周年を迎えることもあり、「日本の力行幼稚園の先生をこちらに研修に来てもらうことも検討中です」という。
 式典の場所や詳細について、永田会長は「まだまだこれからです」としながらも、「全伯に散らばる関係者にこれから呼びかける」との意気込みを語った。