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コラム 樹海

2007年3月27日付け

 本州最北端の下北半島・大間は、鮪の一本釣りで知られた町である。ビデオで観る釣りの凄まじさは闘いであり、所謂―釣りとは異なる。小さな漁船に独りで乗り荒波が立つ厳寒の沖へと進む。釣り糸は太く、漁師は餌を付けたのを荒海へ投げ込む。それからはマグロが食いつくようにと神に祈るような気持ちで静かに―静かに波に揉まれながら待つ。そして―200キロ超でも掛かれば大喜びだ▼東京の築地市場では、この大きさだと1000万円を超すことがあるし、大変な稼ぎなのである。だが、こんな夢物語のようなことが映画になり報道されるのも、マグロが少なくなっているからに他なるまい。兎に角―鮪資源は枯渇へと歩んでいる。最近は「蓄養」が盛んになっているけれども、これとても海を走る10キロ位の原魚を獲り大きな生簀に放して餌を与え35キロ程度に育ったのを出荷する。でも―この方式でもマグロ資源の減少に通じる▼この「蓄養は」日本が支援し豪州で始まったものだが、すぐに地中海でも導入され今やメキシコでも盛んに行われている。勿論、日本でも実施されかなりの成績を上げてはいるが、これとて資源の枯渇につながり、頭が痛い。当然―マグロ資源を守る動きもある。地中海や太平洋などのマグロ漁獲量を削減する取り決めもある。しかし、実際の効果となると疑問視する専門家が多い▼しかも―最大消費地は日本である。トロ信仰が根強く、鮨ネタとしては最高だし、確かに旨い。けれども―今のような乱獲が続けば「トロ」は幻の味になる危険性が極めて高い。マグロもほどほどに―である。   (遯)