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生活扶助金の管轄変更へ=統合省から官房室=青少年育成強化も視野に=支給率に大きな地域差

2007年3月28日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十七日】ロウセフ官房長官は二十六日、生活扶助金と青少年育成の管理を一手に引き受けることを明らかにした。また生活扶助金の支給にもかかわらず児童の就学率が七〇%にしか達していないことで、政府が一〇〇%就学を目指し、教育システムに関与することになった。さらに首都と十二州で、生活扶助の対象水準より貧しい三三万世帯が、扶助を申請しながら受理されず、児童教育の機会を受けられずにいる。また、生活扶助金を受給しながら児童就学を怠った世帯は、これから支給を差し止められる可能性が出てきた。
 第二次ルーラ政権の主要目標である青少年育成と生活扶助制度を徹底するため同システムは、国家統合省から官房室の管轄に移されることになった。教育省の調査によれば、就学率が七〇%に過ぎないことで教育の成果を確かめるシステムの変更も行う。
 社会統合システムは、教育と医療、青少年育成、格差是正、社会参加、文化活動の六項目によって立ち上げる。関係省庁は、教育を除く各項目について具体案を一カ月以内に作成し、官房長官へ提出することを命じられた。
 十六歳から二十四歳の青少年育成に取り組んできた青少年庁は、職業訓練や大学進学のための奨学金、義務教育修了などを、予算一〇億レアルでやりくり算段してきた。そのため成果については、評価が行われていない。デリケートな年齢層なので、その扱いについては議論の余地がある。
 犯罪に走り易い年齢層の扱いについて、生活扶助金制度を抜本的に見直す必要があるとの結論に至った。対象年齢を満十六歳から十八歳未満に引き上げ、調整を消費者物価指数(INPC)に従って一五%から一七%とするか、食費のINPCで調整して五%または六%とする案が出た。
 現行の生活扶助制度は対象児童数を三人と制限し、一人当たり月四五レアルを支給する。ところが貧乏人の子だくさんで、児童三人以下の世帯はほとんどない。生活扶助制度には、児童の教育義務も含まれている。
 扶助金の享受には真剣だが、教育義務の履行は受給者の頭にないようだ。児童は授業の八五%以上の出席が求められる。就学率や出席率を遂次インターネットで政府へ報告するよう、コンピュータを各教育施設へ設置する。
 児童の教育義務不履行で、三万世帯が生活扶助金を打ち切られる可能性がある。三月はすでに一三万八五二一世帯の児童が出席率八五%に達しなかったとして支払差し止めになる。貧困家庭で児童は農繁期の貴重な労働力だ。
 ルーラ大統領が再選されて三カ月になるのに、生活扶助金を申請しても受理されていない家族が三三万世帯もある。特にアマパ州では、三〇%が受理されず放置されている。貧困家庭として受理されなかった世帯は、受理された世帯より貧しい家庭である。
 一方、ミナス・ジェライス州やパラナ州、リオ・グランデ・ド・スル州では、貧困世帯数より生活扶助世帯数が上回っている。十杷一からげのお役所仕事で、生活扶助が行われているようだ。