2007年3月28日付け
【ヴェージャ誌二〇〇〇号】政治の舞台から消えたジルセウ前官房長官は、大統領就任の野望に衰えを見せない。前長官は四年間、偽名を使って妻をも欺き、パラナ州で潜伏生活を送り、労働者党(PT)政権成立後はスーパー大臣として、二〇〇五年六月まで全閣僚の上に君臨した。
失脚から二年を経た現在、もう一つ大仕事をした。失業者の身分からコンサルタント会社を立ち上げ、月給一五万レアルを得ている。パラナ州で経営したちっぽけな洋品店の経験を基にだ。コンサルタント会社の顧客に大手企業が瞬く間に集まった。
事務所には毎日、前長官にアポを取った事業家や政治家が列を成す。会合は相談だけでなく、産業界と政界の媒酌も行う。しかし、前官房長官時代の肩書きを活かしたロビー活動は、一切行わないという。
資本家とゲリラの取り組みは珍しくないらしい。前長官は昨年末、三番目の妻マリア・A・ガルシアさんと別れ、直後に官房時代の側近エヴァニゼ・サントスさんとの恋仲を発表。世界を一周したが彼女は側近として振る舞い、人前で馴れなれしさを見せなかった。
彼女はPT内では「爆弾女」視され、前長官の失脚後、閑職へ回された。前長官は前妻と離婚後、新妻とアルゼンチンへ旅行した。前長官はブラジリアへの出張時はホテルに投宿せず、エヴァニゼの自宅で過ごし、PTとの会議や顧客の応対も同所で行う。
サンパウロ州の住居は、ヴィニェード市のマンション。サンパウロ市での行きつけは、イタリア料理かポルトガル料理のレストラン。前長官の復権は誰もが信じている。政界復帰の権利を回復し、二〇一〇年はサンパウロ州知事選に立候補する。次には夢の大統領選を狙う。
二〇一〇年の大統領選立候補も考えたが、世論調査の結果、三分の二はジルセウ不支持、七〇%が議員権はく奪を妥当としたことで断念した。二〇一五年まで禁じられた政治活動を、一五〇万人の嘆願署名で無効とする考えであった。今度は、最高裁で無罪判決を取得する考えだ。
最高裁の無罪判決が出れば、政治恩赦を取り付けるため下院に圧力をかける。それには腹心であるキナリア議長が、前長官復活の段取りをする。また野党のブラジル民主社会党(PSDB)や自由前線党(PFL)へも根回しがしてある。前長官にとって現政権の運命などクソ喰らえだ。
サルバドールで行われたPT創立二十七周年の式典は、前長官の報復宣言であり、凱旋将軍の復権のような演出がむき出しであった。前長官は三月、六十一歳の誕生日を迎えた。誕生パーティーには、PTを支える六〇〇人の実力者党員が招待された。
作家レッサ氏によれば、ブラジルの歴史は十五年毎に書き替えられ、過去のことは忘れ去られるという。ジルセウの復権は、失脚の十五年後に予定している。コンサルタント会社も人生も、十五年を一区切りで計画を立てているようだ。