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スロットマシーンはびこる=飲食店の6割が不法に設置

2007年3月30日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】サンパウロ州内で今、カッサ・ニッケルと呼ばれるスロットマシーンがブームとなり、社会悪の現象を引き起こしている。スロットマシーンは州条例で営利を目的とした設置は禁止されているにもかかわらず、バールやパダリア、レストランなどに堂々と設置、営業されている。
 州当局は、禁止令が発令されたが処罰の細目が未定なことで、取締りを控えていると説明している。ホテルやレストラン、バールおよび類似店の労組によると、サンパウロ州内の加盟店三五万店のうち、六〇%が機械を設置して不法営業しているという。
 スロットマシーンはコンピューターの部品での組立が可能で、コスト一五〇〇レアル位で手軽にできる。あるいは専門組立工が二一〇〇〇レアルで販売している。販売は電話やインターネットで容易に行われている。
 マシーンはコンピューターで制御されており、賭金の払い戻しもプログラム化されている。ほとんどが最高五〇%の払い戻し率となっている。言い換えると、設置しているマシーンの所有者には黙っていても五〇%が転がり込んでくる仕組みになっている。さらに払い戻しは賭金が一定になるまで累積されなければ行われない。
 つまり賭金が一〇〇レアルに達した時点で、五〇レアルが払い戻される。この五〇レアルが全て払い戻されると、次の一〇〇レアルになるまで機械は「出ない」状態になるわけだ。たまたま払い戻し時期に遭遇して儲かったと思い込み、さらに勝ちを増やそうとして泥沼にのめり込む人が多い。また反面、敗けを取り戻そうと必死に注ぎ込むのが賭博マニアの常で、収支決算は始めから勝負がついている。
 バールやパダリアでは手軽にアルコール飲料を引っかけられるので、酒の勢いで大胆になるのも負けを大きくする原因となっている。これらの店ではマシーンの売上で家賃や従業員の給料を支払う収入源としている。
 サンパウロ総合大学で賭博中毒患者を治療する心理病棟では、近年患者が倍増し、平均で一〇〇人当り二〇人になっており、ほとんどがスロットマシーンが原因だという。ビンゴが全盛の頃は一〇%に過ぎなかった。
 濡れ手に粟のスロットマシーンだが、所有者にとって頭痛の種がある。コインの盗難だ。不法営業のため盗難の被害届を出せず、泣き寝入りとなる。このため機械上にコインボックスに盗難防止装置をほどこしてもらったり、修理とともにアフターサービスの契約を結んでいる所が多い。
 【同紙二十七日】サンパウロ市議会の政党リーダーらは二十六日、スロットマシーンの違法性と脱税を調査する議会調査委員会(CPI)の設置を決定、二十七日にも上程する方針を固めた。調査ではマシーンを設置しているバールなどの営業許可内容で納税の実態を主眼とする、関係筋によると、この利益にサービス税(ISS)を課税するのが狙いだと指摘しているが、税法専門家筋によると、違法営業に税金はかからないとして実現の可能性を否定している。