ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 航空管制の民間委譲を決定=士官ら、業務拒否=45日以内に事態収拾へ=反乱分子の処分は見送り

航空管制の民間委譲を決定=士官ら、業務拒否=45日以内に事態収拾へ=反乱分子の処分は見送り

2007年4月3日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】軍律に反して航空管制を拒否、反乱を起こした空軍士官らに対して政府は一日、業務を民間機関へ委譲する仮処分の決定を下し、航空管制官一五〇〇人は国防省管轄下の民間管制機関へ編入させる意向を示した。空軍は四十五日以内に航空管制業務から退き、事態を収拾することになった。ルーラ大統領は、反乱士官の身柄拘束回避を要請。斎藤空軍総司令官が、国防のための制空管理は空軍が引き続き行うため、レーダーなどの機器は貸与しないし、反乱士官による軍の秩序かく乱は、軍事法廷の裁判を免れないと糾弾した。
 航空管制の空軍管理からの引き離しが、予想より早く行われる見込みとなった。しかし、全国の管制センターで軍務離脱により反乱を起こした士官の身柄拘束をルーラ大統領が阻止したことは、その是非が最高裁で争われそうだ。
 斎藤総司令官はマナウス管制センターへ公文書で、士官らの行為が軍律違反であり、軍の秩序を乱したことは懲罰に値し、軍籍を離脱すべきであると通告した。引き続き公文書で、軍籍継続または離脱のいずれかを選択するよう総司令官は勧告した。
 大統領府では大統領始め国防相、官房長官、予算管理相が集まって、航空管制の民間委譲を討議する。総司令官が二十八日、管制センターは放棄状態にあり、民間への委譲手続きを急ぐよう大統領府へ伝えた。民間機関へ編入される士官は軍籍を除籍し軍服はく奪の上、民間企業の勤務へ移されるべきだと報告した。
 予算管理相は元空軍士官に退職金三〇〇〇レアルを支給して民間編入とすべきか、国家試験によって管制官を新たに一五〇〇人採用すべきか検討中という。一五〇〇人は管制官の資格で採用し、その次から国家試験で採用する案もある。
 大統領は反乱士官に労働法を適用し、罷業権について検討するらしい。大統領は反乱士官らを招き、身柄拘束をしない前提条件で労使交渉を行った。士官らは空軍上層部が軍律一点張りで圧力を掛けたことに不満をあらわにした。
 軍律を旨とする軍高官の見解によれば、反乱士官は軍全体に悪影響を及ぼしたことになる。これは編入ではなく、追放されるべきだという。または軍事法廷が有罪判決を下す前に軍籍を離脱する方法もあるが、脱走兵扱いとなる。
 大統領の身柄拘束免除は、今後軍部において綱紀粛正の頽廃を引き起こす原因になるとみられる。これは空軍に止まらず、陸軍や海軍においても同じ。空軍には反乱に直接参加しなくても、管制トラブルの責任を問われる士官が多数いる。責任者は当然、軍事法廷によって罰せられるべきであるが、反乱士官は大統領特赦により無罪放免になる。
 空軍は国防のための制空管理を継続執行するので、管制機器は貸さない。管制センターも空軍のもの。民間機関への管制業務委譲はやぶさかでないが、管制センターは別に建設し、機器も別に購入せよという。反乱とストとは訳が違うというのだ。