「日本語教師本邦研修なくならないように」=反対署名運動続ける=OB会、総会で方向確認

2007年4月3日付け

 【既報関連】「このまま黙っていたら研修制度は廃止されてしまいます」――。JICA日本語教師研修生サンパウロ地区OB会(宮崎高子会長)の定期総会が先月二十五日、サンパウロ市のブラジル日本語センター内で開催された。席上、同会は、総務省の一委員会が行政改革推進本部に勧告している「海外移住事業の見直し案」について、反対する署名活動を継続する方向を改めて確認した。
 谷広海理事長はあいさつで、見直し案により優秀な日本語教師の育成につなげてきたJICAの日本語教師研修制度が廃止される可能性を示唆し、「南米全体が一つとなって同案反対の活動をする必要がある」と強調した。
 また同理事長は総会の席上「日本語教育への援助が移住者支援という形でなく、新たな支援体制のなかで組み込まれる必要がある」と指摘。それを踏まえて、日伯議員連盟の会員らに日本語教育の現状を陳情し、政策転換を働きかけることが重要とした。
 来賓で出席した野末雅彦JICAサンパウロ支所次長は、同事業の見直し案が検討されている点に関し、「私たちとしてもできるだけ良い方向に努力したい」と述べた。そのうえで、ブラジル側でも「自分たちで力を蓄え、実力をつける、JICAに頼らない体質を作るのが今後重要になる」と話した。
 同研修制度は一九七九年から実施され、現在、同研修生のOB会員は三百七十六人。宮崎会長はOB会全体で同案の反対運動に尽力する方向を確認し、「私たちのように日本で教師が研修できる制度がなくなったら、ブラジルで生きた日本語を伝えられなくなる」と強調した。OB会ではすでに正式な嘆願書を日本の外務省などに送付したという。
 総会にはクリチーバやロンドリーナなどの遠方の教師を含め、約二十人が参加。〇六年度の会計報告に加え、記録映像作家の岡村淳氏のビデオ作品が二本上映され、好評だった。また救済会「憩の園」に日本米やしょうゆなどの食料品、日常雑貨が寄付された。