2007年4月3日付け
「沖縄神話」の一つがやっと崩れた。あの沖縄戦争で渡嘉敷島と座間味島の住民らが、当時の軍隊の命令で集団自決したという捏造の話を掲載していた高校の教科書に検定意見がつき、記述が修正された。この軍隊命令説は沖縄タイムス社が昭和25年に発行した「鉄の暴風」に記載されたのが初めてであり、この偽りの記事が独り歩きし歴史的な事実とされてしまった不幸が続く▼しかし、作家の曽野綾子さんが実際に現地を訪れ取材して書いた「ある神話の背景」で軍命令を否定し、遺族年金を貰うための捏造であったの真実を述べている。当時の厚生省も、遺族年金のためという事情もあり、現地にいた軍の命令ということにしたらしい。戦後のどさくさがあったにせよ、この偽りに官庁も関与していたのは、もっと重く見ていい▼これに関係した記事は雑誌にも何回か掲載されているし、命令を出したとされる梅沢裕元少佐も全面的に否定していたし、地元の住民らも「偽りの話」を認めてもいる。そういう意味では、文部科学省の検定意見は遅すぎた嫌いがないでもないが、教科書の誤りを正した姿勢は評価されていい。ただ―これで日本史教科書が完璧になったかと言えば、必ずしもそうではない▼今もよく話題になる「南京大虐殺」でも、中国が主張する「30万人虐殺」をそのまま掲載する教科書もある。だが、最近の研究では、10万人、20万人逆説も否定されているし、30万人虐殺の根拠は極めて薄い。いずれにしろ―教科書が事実誤認や誤った記述をしてはいけない。文科省も臆することなく教科書検定に取り組んでほしい。(遯)