2007年4月4日付け
コロニアの耳目を集めたさきの文協評議員選挙。二百三十三人の候補から三十一日、選挙権を持った百人が選出され、各派の活動に拍車がかかっている。六十五議席を獲得したGASに対し、「しんせい―」は三十五席。ニッケイ新聞では三日、四十人が名を連ねる小川派リストを入手した。「上原派が三派を取り込むのが理想」と話す「しんせい―」の小山氏。「上原氏と組むことはありえない」とあくまで上原打倒を打ち出す小川氏。両派の連立の可能性が取りざたされるなか、最多四百八十五票で首位当選した高木ラウル氏(ニッケイ新聞社長)を担ごうとする動きもでてきているようだ。両派とすでに接触した高木氏は「評議員会長であれば、関心はある」と話している。
■GASの結束は幻?
前回の選挙同様、台風の目になりつつある小川氏が今回発表した自派リスト。
GASとは二十八人、「しんせい―」とは十一人が重複しているが、小川氏は「全員に確認済み」と話し、GASの結束の脆さを指摘する。確かに「承諾なしに公認にされた」との声も聞こえてくる。
小川氏の言うとおり、二十八人が反上原の立場となれば、純粋な現体制派は三十七となる。過半数には、はるかに及ばず、絶対有利の見方は揺らいでくる。
■小山、小川両氏の会合
「しんせい―」の中心メンバーである小山昭朗氏と小川氏は二日、会合を持っている。
両氏は百周年、文協の問題点などについて意見の合意を見たようだが、「理想的な形は、現体制側が三派を取り込むこと」とする小山氏に対し、小川氏は反対の立場に立つ。
「上原氏とはできない。この四年間でやれるメンバーがいるのか、どうかは分かっている」とし、文協の執行部解体が絶対必要と説く。
「今、必要なのはトップ」と会長役の人選に奔走する小山氏は、すでに二日、松尾治・百周年執行委員長に説得を試みているが、同氏はこれを固辞したという。小山氏はいう。
「上原氏は名誉会長に。会長はほかの人になってもうしかない」
■高木氏に白羽の矢?
この状況のなかで、最多四百八十五票で首位当選した高木ラウル氏の名前が急浮上する。すでに土曜日の選挙発表後から、高木氏の電話は鳴りっぱなしだ。
情報筋によれば、今回当選した大手企業が高木氏の出馬を推しているという。
選挙翌日に高木宅を訪問した小川氏は、「高木氏がトップであれば、副会長でもいい」と話し、若手を入れたシャッパ作りの構想も練る。
高木氏は、「会長よりも評議員会長の方に興味がある」と話すに留まり、今後の対応を検討している。三日には、小山氏は高木氏と面談、同日夜に「しんせい―」は幹部会議を開くという。
前回の文協会長選でシャッパを提出、上原、谷派と戦った下本八郎氏。今回の選挙でも個人で四位につけ、コロニアでの知名度を誇った。
個人的な意見と前置きし、「次回理事会には積極的にやる人になってほしい」と執行部交替の必要を匂わせる。
三日現在、どの派からも出馬の要請がないことを明かし、「評議員として意見を出していきたい」と電話取材に答えた。
◎
「小川派」リストに名を連ねる評議員当選者は次の通り(順不同、敬称略)。高木ラウル、スダメリス銀行、ヤクルト商工、二宮正人、井料堅治、伯日青年会議所、エスペランサ婦人会、サンスイ、モジ文協、老ク連、多羅間俊彦、石井賢治、ブラジル秋田県人会、田辺豊太郎、コチア青年連絡協議会、本田剛、小林ビクトル、網野弥太郎、花城アナクレット、林アンドレ、ブラジル郷土民謡協会、柳田コウジ、中川デシオ、西銘光男、山中イジドロ、聖北文化体育連合会、農拓協、大田レオ進、高橋カルロス、中川卿子、横田パウロ、小川彰夫、松永久美子、菅原ミルトン、日伯音楽協会、関屋ロベルト、レジストロ文協、小賀誠二、ニッケイパラセ・ホテル、ブラジル鳥取県人会。
文協〝代表〟が百周年トップ
今回の選挙の盛り上がりの背景に百周年があることはコロニア周知の事実。しかし、文協会長=百周年理事長なのか。大原毅・百周年協会法務委員長に聞いた。
昨年四月末の臨時総会では、〇九年まで上原文協会長が百周年協会理事長と承認されているが、「必ずしも会長である必要はなく、文協が選んだ代表が百周年の会長になる」と大原委員長は説明する。
上原幸啓個人でなく、あくまで文協会長である上原氏が代表となっているという考え方だ。
続けて、「定款上は一会員、評議員でも、〃代表〃と承認されれば、百周年会長になれる」としつつも、「たとえ文協が推しても、百周年協会でその代表がふさわしくないと判断すれば、罷免もしくは総辞職も法的にはありえる」と付け加える。
百周年協会の渡部和夫顧問は、「定款上はそうだけれど、上原氏だから選ばれたわけです。もし、会長が替わっても、文協永年評議員である上原氏を百周年理事長として残すのが理想では」と上原体制支持の立場を守った。