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コラム 樹海

2007年4月4日付け

 聖東地区の一文協の役員から、会館をどこかに寄贈したいのだが、新聞社さんの意見も聴きたい、と電話があった。本当に思い余っているようだった▼時価評価十数万レアルの会館(建物と敷地、五百平米)をそっくり日系の福祉団体に寄贈したらいいのか、世話になった非日系の団体もあるので、そちらも考慮したい、現金化して分割寄付すべきなのか、役員たちの意見が一つになっていない、ということだった▼同文協の歴史は四十七年。会館をつくって活動の拠点にしよう、というコロニアのブームの走りだったと思われる。それほど、年月を経た会館だ。建設によって、人の出入りも増え、大いに活用されたそうだ。人がたくさん集まって、建設の実があがったのだ。若者たちが、クラブ的な楽しめる施設がないといって、集まらなくなったと時を同じくして、会館を建てた原動力となった会員たちは老いた。いま、八十歳前後▼鳩首相談し「寄贈する」と結論は出た。これまで、手塩にかけて維持し、活かしてきた、わが子のような会館だ。一番気掛かりなのは、寄贈を受けてくれたところが、受けた後どうするかであった▼気持がよくわかる。今度の電話を受けて印象深かったのは、老役員の態度が「ポンと寄贈してしまえば、それでお終い」でなかったこと、当り前のことだが「文協や会館というものは、青年層、壮年層の支えがなければ、成り立っていかない」の二点だった。ともあれ、決断はまもなく下されることだろう。(神)