2007年4月5日付け
日本文化普及や日本語教育のノウハウを交換し、日伯両政府に対して一括して要望を取りつぐために、ブラジル教育省公認の日系七校が集まり、三月十六日午後六時からサンパウロ市の文協ビル内で、日伯教育機構の設立総会が行われた。日本語学校ではなく、ブラジルカリキュラムを教える日系校の集まりとしては初めてのものだ。
設立に尽力した一人、田尻慶一氏(前CIATE専務理事)はその基本理念を、「単に日本文化を知らしめるばかりでなく、ブラジル社会に役立ちうる日本文化の良き資質の滋養を校風とし、学園在校生を通じて育成し、彼らを通してブラジル社会に徐々に浸透させていき、やがて各民族〃統合〃のあかつきに形成されるであろうブラジルの新文明に貢献することをもって、その設立目的とする必要があります」と熱く語った。
ドイツ系、イタリア系、スペイン系などは母国の政府や企業からの強力な支援とコロニアが一体となって、民族系の総合学園を建設してきた歴史があり、日系もそれに続くために、このような機構が必要との説明がされた。
創立会員となったのは赤間学院、大志万学院、アルモニア学園、イタマラチー学園などのサンパウロ市四校に加え、近郊のスザノ日伯学園、パラー州都ベレン市のノーボ・ムンド校、同近郊のエスコーラ・ニッケイ校の日系七校。
理事長は赤間アントニオ晃平氏(赤間学院理事長)、第一副理事長は川村真由実氏(大志万学院校長)、第二は和田忠義氏(アルモニア学園理事長)に決まった。それ以外の四校が理事、日伯学園構想の提唱者であるサンパウロ人文研の宮尾進顧問や大浦文雄氏も理事になった。
理事長に就任した赤間氏はニッケイ新聞の取材に対し、「断り切れなかったんですよ」と笑いながらも、「良い動きだと思って賛同しました。今後検討して深めていきたい」と語った。
遠くはパラー州からエスコーラ・ニッケイの日本語責任者の大槻富貴子さんも列席した。ベレン郊外のサンタイザベル・アントアントニオ日伯文化協会(影山アントニーノ昭男会長)が九六年に設立した同校に、二百五十三人の生徒中、実に八割を非日系人が占めるが、日本語を必修科目(五~八年生)として毎週教えている。影山会長の判断で同文協が経費を負担した。
大槻さんは「今回みなさんと知り合えたので、これからゆっくり他の学校の様子を教えてもらいたい」との抱負を語った。
今後は日系人が創立した学校以外の、日本文化や日本語を教えている私立や公立学校と、どのように連携していくかなども検討していくという。
事務局長に就任した小松雹玄氏は「現在は定款を登録する作業をしている。その後、免税団体になる手続きを行う予定」との見通しを語った。当日は約二十人が出席、委任状を入れれば約三十人だった。