2007年4月10日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】ルーラ大統領は八日、野党が航空管制CPI(議会調査委員会)を立法機能の停止へ結びつける動きがあるとして、ワウフリッド・M・ギア憲政相に省庁の次官級人事を急ぐよう命じた。政府は、野党が同CPIを経済活性化法案(PAC)の承認阻止で観覧するお座敷に仕立てるつもりだとみている。二〇〇七年十二月で期限切れとなる小切手税(CPMF)や政府経費自由枠(DRU)は、PACの重要な財源である。資金源を断たれると、PACの実施に支障を来たす可能性がある。
航空管制の機能停止を調査するCPIは、立法機能の停止へすりかえられる危険性があると政府はみている。そのため上程されて三カ月、未だに漂流中のPAC法案が道連れにされる可能性も出ている。
ギア憲政相を座長とする連立十一与党の政策会議は、次官級人事や予算包括案、財務省が懸念するCPMFとDRUの有効活用をスピード審議するため、毎週開催となった。これまでいつも先送りとされた主要議案を、ブラジル民主運動党(PMDB)の警告で急きょ決議することになった。
航空管制CPI設置については最高裁の判決待ちであるが、PMDBがカウント・ダウンに入った時限爆弾と呼んだ。爆弾の破裂を待たずに、政府は先手を打つべきだという。特に十二月で期限切れになるCPMFとDRUの延長案が否決されるなら、PACにとって大きな痛手となるからだ。
両財源が否決された場合、政府はCPMFで三五〇億レアルの歳入を失う。さらにDRUは、国庫から二六〇億レアルの公的資金を放出せねばならない。
大統領は三日、労働者党(PT)所属の上議を集め、一連のCPIをなし崩しにした党の意欲を無為にしないよう勧告した。政府の最優先事項はPACの成功であり、そのためには更にPTの役職を譲渡することもあると警告した。
公団の総裁人事ではPT関係者を引きずり降ろし、政治力で勝る人材にすり返るためにリーマ国家統合相(PMDB)が貪欲に動き回っている。大きな予算が動く省庁に食指を動かすPMDBの厚かましさと図々しさに、PT幹部が閉口している。
PACを骨抜きにする野党の動き封じに専心した政府のスキを、PMDBに乗じられたようだ。他の連立与党は政府への協力に異論はないが、経済活性化よりも縄張り拡張に専念するPMDBを嫌悪している。次官級人事を急いで、PAC成功へ向けて結束を急ぐべきだと訴えている。
第二次政権の目玉ともいうPACは、空港トラブルを始めとする管理不備で座礁してから一〇〇日になる。政府は第一次政権で立派な計画はたてるが、優柔不断で具体化できないという評価が定着した。それは足元が覚束ないからだという野党の批判が政府の弱みを突いた。航空管制パニックで、批判は顕著となった。
政策が一時凌ぎで計画性がないため、経済活性化政策や教育改革は机上論に終わると野党が皮肉る。出鼻を挫かれたPAC五〇案のうち、九%は実現不可能になりつつあるという。野党は、PT政権とは口ばかり達者で何も出来ない人間の集まりだと批判した。