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デング熱を知ろう=初期は風邪の症状、発熱=20歳代の感染者が多い=雨水溜まらない環境を

2007年4月10日付け

 デング熱が流行している。今年三月、日系人女性がデング熱より重篤なデング出血熱を発病し、死亡したのは記憶に新しい。デング熱の予防策、症状は何か―。日伯友好病院の感染症専門医、マリリア・ジュケムラ医師に話を聞いた。

 【デング熱の感染】
 デング熱はウイルスを媒介するネッタイシマカ(Aedes aegypti)と呼ばれる蚊に刺されることで感染する。予防のワクチンはない。感染には蚊が必ず媒介し、人から人に直接感染することはない。
 感染拡大の対策方法は、蚊の繁殖ポイントに殺虫剤を散布し蚊を駆除することだ。この蚊はマラリア蚊と違い、きれいな水を好んで繁殖する。雨が降り、水溜りができたところに陽が出て暑くなると、蚊が卵を産む良い環境となる。
 具体的な対応策は「雨水が溜まらない環境作りが予防策のひとつ」とマリリア医師。植木鉢の受け皿に砂を敷く、井戸にふたをする、カンやビンを逆さまに置く、タイヤなどを野外に置かないなどを勧める。
 また長袖など蚊に刺されにくい服装、防虫スプレーの使用、室内での殺虫剤や蚊帳の利用も効果的だ。
 この蚊は黒と白の斑点があり肉眼で見ることができ、夜間ではなく、昼間に活動するので見分けやすいという。

 【デング熱の症状】
 二日から十日ほどの潜伏期間を経て症状があらわれるのが特徴で、初期症状は一般の風邪と似ている。
 具体的には、三十九から四十度ほどの高熱に加え、頭痛、眼の奥の痛み、筋肉痛、関節痛、吐き気と食欲不振に陥る。熱が三、四日続いた後に、体中に斑点ができ、痒くなる。鼻や歯茎に軽い出血が見られることもあり、入院が必要だ。
 これよりひどい症状となるのが「デング出血熱」。一連の症状に加えて、体中で激しい内出血がおこり、ショック死に至ることがある。この段階まで達するひとは稀だが、致死率は一〇%との報告もある。何度も蚊に刺され、ウイルスが体に蓄積している人が危ない。
 一般的には、デングウイルスが体内にはいっても、八割ほどの人には症状があらわれないという。
 マリリア医師の経験では二十代の感染者が多いという。高齢者の感染例は少ないが、デングの症状がでると、若い人より症状は重い。糖尿病を患う人がデング熱にかかると、症状を悪化させる一因になる。

 【デング熱の流行】
 同医師によれば、今年一月から三月までにサンパウロ州全体で、約一万五千人のデング熱罹患者が確認されている。件数自体は昨年より減少しているというが、油断はできない。
 サンパウロ市内では三十五件、サンパウロ州沿岸部のバイシャーダ・サンチスタ地域、ノロエステ線のアラサツーバ市などでの感染者も目立つ。またマット・グロッソ州では昨年より一・五倍感染例が増えており、注意が必要だ。
 マリリア医師は「突然の高熱など諸症状が現われたら、すぐに医師の診断を受けるように」と勧めている。