2007年4月11日付け
【ヴァロール紙三月三十一日】ペトロブラス石油公団がイランへの事業展開に意欲を燃やしていることで、米政府がブラジルの外交政策を懸念するとソーベル駐伯米大使が通告してきた。イランの原油と天然ガスの開発に食指を動かす全ての多国籍企業に対し、米政府は敵対的かつ挑発的な外交措置を採るという。
同大使はガブリエリ同公団総裁に、イラン進出がメキシコ湾で行われているブラジルの油田開発にも悪い影響を及ぼすと恫喝(どうかつ)的通告を行った。イランへ投資する多国籍企業は、米政府が進めているイランの孤立化と核開発阻止の二点で、妨害行為に当たるとする声明を発表した。
イランとの取引が禁じられている米系企業には、同公団による派手な振る舞いが癪(しゃく)にさわるらしい。同公団は二〇〇四年、イラン政府とペルシャ湾トゥッサン・ブロックに埋蔵する海底油田の試掘契約を結んだ。同契約にはスペインの投資会社レプソルがパートナーとなり、三五〇〇万ドルを投資する。
現時点ではまだ鉱床は発見されていないが、同公団は長期にわたって試掘継続を考えている。ほかに同公団はカスピ海でも二ブロック、海底油田の試掘を行っている。イラン石油公団の発表によれば同公団は、さらに四億七〇〇〇万ドルを投じて、別の二ブロックで試掘契約を結ぶことが明らかになった。
同公団の国際部担当は、イランやカスピ海の油田開発に有望な感触があるという。同公団はイランの油田開発を内密に進めたため、米大使の指摘に総裁は下手に出て、政府が米大使にブラジルのイラン投資はトゥッサン油田に留める意向であると告げた。
米政府情報部は、同公団のイランへの投資を遂一監視していたが、外交ルートでの抗議は控えていた。同公団エネルギー課は、原油の宝庫とされる地域での本格的なエネルギー資源開発がブラジルの宿願であったという。イランでの油田開発がもたらす政治的影響について、同公団は意見を述べる立場にないといった。
ブラジルが中東地域へ進出する足がかりがイランであったと同公団はいう。ルーラ大統領がイランの政治をどう判断するかは、ブラジルの自由であると返答した。ブラジルが米経済の邪魔になるようなことは、一切していないという。