2007年4月11日付け
【ヴァロール紙三月二十六日】米国の悲劇がブラジルの喜劇ではないが、エタノール需要の急増により米国のトウモロコシ価格が過去一年間で二倍に高騰し、米畜産業者が苦境に立たされた。
米国を席巻しているエタノールブームとエネルギー自給のキャンペーンは、米国人の食卓から動物タンパク質を取り去ると畜産協会の会長が訴えた。問題はビーフだけに止まらず、経済全体にコスト高をもたらし、混乱を来たすと関係者はみている。
家畜の飼料であったトウモロコシを燃料の原料とする考えは、牧畜業者や食品加工業者が納得できないと反対運動を起す構えだ。反対運動には、環境団体や自由貿易論者、理想主義者などが共鳴した。
彼らに共通するのは、エタノール生産でトウモロコシの急激な需要が市場バランスを崩したこと。安価なサトウキビのエタノールに輸入関税を掛け、高価なトウモロコシのエタノールに補助金を払って、生産者を保護することは非合理的だというのだ。
この生産悪循環は、米経済に混乱を引き起こす。何が正しくて何が誤りかは、政府の判断ではなく、消費者が決めることだと米世論はいう。莫大な補助金を払って生産するトウモロコシのエタノールは賢い選択ではないと市民はいう。
しかし、エタノール支持者はブッシュ米大統領ばかりではない。次期大統領候補のヒラリー上議も、エタノール支持へ鞍替えをした。ワシントンでは、与野党のエタノール支持派で電車は満員。エタノール支持で政治献金も次々集まり、順風満帆である。