2007年4月13日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】中銀は十一日、アゼベド通貨政策局長の辞表を受理し、後任人事にトロース局長を起用することを発表した。
突然の辞任劇に金融界では驚きを隠せないでおり、辞任の理由が「一身上の都合」となっているにもかかわらず、背景についてさまざまな憶測が飛び交っている。
三月初めにはベビラクア経済政策局長が辞任したばかり。それに続く今回の辞任劇で、しかも通貨政策委員会(COPOM)会合を一週間後に控え、その主要メンバーが突如離れるのは不自然だととらえる向きが多い。
中には金利引き下げと為替政策に対する市場の圧力に屈したと勘ぐる関係者もいるが、いっぽうでCOPOMが斬新的な改革を行う準備を始めたと期待する見方もある。アゼベド前局長は中銀内でもハト派としてオーソドックス路線を踏襲してきたために、この憶測が流れた。
これに対しメイレーレス中銀総裁はこれら憶測を否定し、辞任劇は個人的理由によるもので、中銀の政策路線の変更はあり得ないと断言した。さらに金利政策は中銀の使命であるインフレ抑制を念頭に入れたものだと、従来からの考えを改めて強調した。
マンテガ財務相は記者会見で同総裁の考えを支持、金融政策は政府が主導権を握っており、局長交替で政策が変更することはないとの考えを強調した。
中銀関係者によると、アゼベド前局長はメイレーレス総裁が就任を要請した時に二年間の期限を条件とし、昨年半ばに期限切れを理由に辞任を申し出たが、選挙期間ということで保留された経緯があるという。しかしいっぽうで、前局長がヨーロッパ諸国を歴訪し、各国の中銀関係者と話し合いの場を持ち帰国した矢先であり、突然の辞任は解せないとの声もある。
新任のトロース局長は昨年七月までサンタンデル・バネスパ銀行の副頭取を務め、金融市場の裏を知りつくした「仕掛人」として知られており、中銀で奇抜な政策を期待する向きが多い。