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コラム 樹海

2007年4月13日付け

 バウルーの朗人(ろうじん)クラブ福寿会の広報はユーモアがある。「福寿会は老人の集まりではありません。朗らかに生きようとしている人たちの集まりだから、朗人クラブとしています」。命名のわけをこう説明し、けっしてワープロの漢字変換の間違いではない、と強調する▼地方の日系集団地の老人クラブはおおむね会員数が多い。福寿会も三百人を超えたことがあった。ここ数年は減っているという。それでも正会員二百五十人。サンパウロ市にはない規模だ。五十歳から会員資格ができるというのも珍しい。少し早いと思うのは、会員になればみんな隠居、と思い込む日本人の習性から来ているのもしれない。働きながら、老人クラブに加入してもなんら差し支えない▼加入資格年齢の低い設定と、次世代の高齢化によって、会員数はどんどん増えると思われるのだが、そうでもないようだ。近年は、世の中の多様化で高齢者の活動も複雑化し、加齢すればみんな老人クラブへ、というふうに一律にはならないのだろう▼朗人会は毎年餅を売って活動資金をつくる。自助努力だ。九十歳以上の会員は会費無料。九十歳以上は必ずしも弱者とはいえないが、敬いつつかばっている。おまけにバウルー市内の他団体の資金づくりも餅つきで手伝う。さらにサンパウロ市に本部がある福祉団体にも寄付をする▼かつてあった日本人植民地の移民一世の互助の良風をそっくり残しているようだ。できることなら末永く残していきたいものだ。(神)