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大統領再選廃止を話し合い=与野党、擦り寄る=任期5年、2010年以後=野党、ルーラ3選を懸念

2007年4月14日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十三日】政府与党と野党のブラジル民主社会党(PSDB)は十二日、大統領の再選を取り止め、任期を五年へ延長する修正案の起草について話し合った。セーラサンパウロ州知事を中心に推進する同案は、二十三日にジェンロ法相から連立与党の合同委員会へ提出される。政府執行部は原則として前向きに検討する意向を表明したが、最終的に本会議の表決で決めることになると述べた。バイア州のワグネル知事(労働者党=PT)によると、政府の第三次政権には反対であることを声明するはずだったという。
 大統領や州知事の再選を廃し任期を五年へ延長する案は、承認されれば二〇一〇年から実施になる。政治改革の座長を努めるジェンロ法相は、野党が再選廃止を望むなら政府はやぶさかでないと述べた。PSDBは、ルーラ大統領が〇一四年の大統領選へ立候補することを懸念していた。
 PT政権は、原則として三期にわたる長期政権に反対の意向を表明するつもりであったとバイア州知事が明かした。先の世論調査で大統領の個人的評価と政治の実態がかい離していることを見せつけ、ルーラ神話が今後の政治課題になることが懸念された。
 法相は連立与党へも打診し、過半数の合意を得た。与野党の接触は、マガリャンエス下議(PSDB)とワグネル知事の昼食会で行われ、政治改革の一環として同案が出され、双方が快諾した。
 大統領や知事、市長の再選は一九九七年、カルドーゾ元大統領提出の修正案十六条で承認された。同修正案の承認にも、政府の買収工作が行われた。同修正案が元大統領の再選を可能にし、選挙での現職による買収工作が定着した。
 再選の承認で政治改革は頓挫した。州知事で再選を遂げるものが多く、現職の強味を生かした政治の腐敗は恒常化した。再選による長期政権は、一九四五年から一九六四年のヴァルガス独裁政権と、軍政の復活とする見方がある。
 再選廃止のPSDB案は、〇一〇年実施として現職の知事が次回選挙で再選された場合、任期が九年にわたる。市長も同様であり、疑問点は多い。再選廃止案には、選挙資金の融資規定や比例代表制度、政党綱領などが含まれる。
 英紙エコノミストは、大衆迎合に傾いたブラジルの政治を憂慮している。大統領人気に配慮するあまり、経済政策は遅々として進まない。ブラジルはぬるま湯に浸かって外へ出ようとしない。進歩と未知の世界へ挑む戦争から逃避している。政権獲得当初のファイトは失せた。
 大統領再選の要領は体得した。労働法の改正や社会保障院改革など、痛みを伴う構造改革など得票につながらないものは保留した。民間活力を引き出すには、ルーラ大統領は全ての条件に恵まれている。国民の支持は圧倒的だし、政治的支持も得ている。
 国際環境も順風満帆だ。〇三年の政権就任当時、飛躍かスッテンコロリン貧乏国入りかと心配された。その懸念は今、払拭された。ブラジルの進歩は確実視されたが、あまりにものろ過ぎる。公社の汚職体質や怠慢な官僚システム、犯罪者の跋扈(ばっこ)、幼稚な教育制度は過去八年間、何も変わっていないという。