2007年4月17日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】全国で過去二年間、誤認逮捕で起訴されて拘留ないし服役したケースが二十四件に上がり、三十三人がえん罪で長期間罪に服したことが明らかになった。えん罪は男性三十人、女性三人で十一市にわたり、これらの刑期の総計は三十二年九カ月に達した。
当然のことながら、これらに対し国が賠償金を支払うが、その額は一三〇〇万レアルとなり、国庫の余計な負担となる。しかしこの支払いは官僚主義の業務遅れからほとんどが遅延となっている。
犯罪の判決に十年要すると仮定すれば、賠償に二十年要すると言われる所似である。えん罪で無実を勝ち取りながら犯罪者のレッテルははがれず、さらに経済的困窮に直面するのが実情だ。
これに対し裁判所の審理遅れによる判決遅れを含む司法の体質を問う声が多い中で、警察のズサンな捜査が指摘されている。
サンパウロ市で十五年間刑事告発を担当したある検事は、この期間に二〇〇人を証拠不十分で不起訴処分にしたと証言している。また教会に属する刑事犯罪の弁護士は昨年、フランコ・ダ・ロッシャ刑務所を訪れた際に二人のえん罪を発見した。
一人は無実の罪で服役、もう一人は犯した罪の刑期を完了して出所したにもかかわらず、刑務所および司法当局が刑期完了の手続を怠り、指名手配犯の抹消がされていなかったことから再逮捕されるというお粗末なものだった。
同弁護士によれば近代的設備の同刑務所でさえこの有様であり、全国の四〇万一〇〇〇人に及ぶ服役者で無実の罪で泣いている人はゴマンといると推定している。
無実を証明するには優秀な弁護士が必要で、その費用を工面できないために泣き寝入りするのが大半だという。なかには賠償金で費用を支払うことを提案する服役者もいるが、その賠償金が遅延となることを熱知している弁護士が引き受けないのが実情だ。
これら刑務所および司法体質を「疑わしきは逮捕し、疑わしきは釈放せず」だと皮肉る向きもある。
えん罪で十九年間服役し、最高裁が判決の中で、ブラジル犯罪史上、裁判所の最大の誤りで、人道上の汚点だ」と位置づけて無罪を勝ち取った五十九歳の男性は、判決後九年が経過しているにもかかわらず、いまだに賠償金を受け取っておらず、国を相手に係争中だ。服役中に病気で失明、社会復帰できず借金生活を続けており、賠償金を手にすることが人生の最後の願いだと語っている。