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コラム 樹海

2007年4月17日付け

 少し旧聞に属しますが、さすがに石原慎太郎は強い。宮城県知事から慶応大学教授に転じた浅野史郎を一蹴しての堂堂の3選である。情報公開がどうのとか石原知事の外国旅行にカネが掛かりすぎるとかの細かな話もあったようだけれども、最大の政見は東京五輪を巡っての議論である。勿論、言い出しっぺの石原知事は大賛成である。共産党の候補は言うまでもなく反対▼建築家の黒川紀章も反対である。最初はぐずぐずとはっきりしなかった浅野も土壇場になってから大きな声で「ハンターイ」と叫んだらしいが、東京都民はちゃんと見るべきものは見ている。東京五輪はこれからが本番であり、まだ開催は決定していない。今から世界に運動し、五輪委員会の承認を得れば、やっと開かれるのだが、これとても難敵がいっぱいいる。安閑としていては敗れ去る恐れもあるし油断は禁物なのだ▼オリンピックの力は凄い。64年の東京五輪は素晴らしかったが、その準備は大変だった。あの年に新幹線が開通し、東京の景観を一変させるような建築と土木工事が行われ、その経済社会的な影響は計り知れないほどに大きい。今は状況が変わっているし、あのときのような波及力はないかもしれない。が、国民や都民も皆で頑張るし、心に植え付くプライドは何物にも優る▼その陣頭に立つのが知事である。慎太郎知事は、これまでの知事とは違う。破天荒なのである。防災訓練には自衛隊を参加させ朝日新聞の批判を受け教育改革もやるなど―大冒険を淡々とやり遂げる実行力は褒めていい。その勇気で五輪誘致もぜひ実現して貰いたい。敬称略。  (遯)