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コラム 樹海

2007年4月18日付け

 本紙『ぷらっさ』欄の投稿掲載に対して、訂正申込みがある。困ったことに、書いて投稿した人自身が言ってくるのではない。他人の投稿の内容が事実でないと言うのである。先日こういうのがあった。「(わたしの親戚のことを)非常に好意的に書いてあるのですが、出身地と渡航してきたときの船名が間違っています。本人はすでに亡くなっていて、子供たちの世代ですが、あの記事が活字になって(本当のこととして)記録に残るのはどうも…」▼投稿した人に悪意はないのだが、事実誤認をしていたらしい。あることを間違えて認めていたり、見間違いをすることをそういう。事実誤認は、おおむね思い込みの強い人が犯す▼例えば、戦時中の「南京事件」の死者数には、異論がたくさんある。いまだ歴史が定まっていない。旧日本軍の行為を全面的に否定しようとする人は、中国側の証言をもとに、日本人であっても「数十万」と主張するし、反対の立場にある人は、「その十分の一でもありえない」と反証しようとする▼移民の出身地であれ、戦中の残虐事件といわれるものであれ、異論があるものを「唯一の事実」のように書くのはやはり慎まなければならない。純粋に、書いている人の主張や考え方、意見の開陳はいい。たとえ多数の人に受け入れられなくても…▼『ぷらっさ』欄には、出版物を読んで〃勉強〃して、自分のものにしたようなのがあるが、それを活字にする際は、いつも異論があるかどうかを念頭におきたい。(神)