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エタノール、風向きに変化=米国に先んじ交渉進める日本

2007年4月19日付け

 【時事】十七日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、米国と日本は最近、ブラジルとエタノール分野での協力関係構築に取り組んでいるが、日本がより具体化している一方で、米国は依然、輸入関税を維持し、具体化は進んでいないなど両国の姿勢には大きな違いがあるとの見方を伝えた。
 ブッシュ米大統領は先月、ブラジルを訪問し、エタノールの生産や消費の促進で協力していくとの覚書を締結した。一方、ちょうど同じ頃、日本の企業関係者は、大型のエタノール案件を取りまとめてブラジルから日本に帰国した。しかし、両国のアプローチには明確な相違があるという。
 米国は、国内でトウモロコシを原料とするエタノールを生産しているため、サトウキビを原料とし、米国より割安なブラジル産エタノールの輸入関税を維持している。このため米国とブラジルとのエタノールに関する協力交渉はまだ具体的な結果につながっていない。
 一方、日本は国内に保護すべきエタノール産業はなく、ブラジルをエタノールの主要輸入先としてみており、将来的にもブラジルから確実に大量輸入できるようにする見込みだ。このため、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスと三井物産が今後四年以内に年間八億ガロンのエタノールを日本に供給するための交渉を行うなど、提携関係を構築しつつあるとしている。
 日本との提携により、ペトロブラスはブラジルで最大のエタノール輸出業者になる可能性があるという。ただ、ブラジル国内に三〇〇以上もあるサトウキビの加工工場の多くは、砂糖とエタノールの両方を生産し、砂糖価格が上昇した時はエタノール生産が減少するなど、不安定な面があり、日本はブラジルが安定供給を保証できるかどうか懸念しているという。
 昨年は、ブラジル産エタノールの最大の輸出先は米国だったが、米国内でのエタノール増産で、今年の米国のブラジル産エタノール輸入量は急減する可能性があるとする専門家もいる。一方、日本はエタノールの国内生産ができないことから、ブラジル産のエタノールの輸出の約半分が最終的に日本向けとなっても驚きはないと指摘する向きもある。