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若者の就職難続く傾向=大学は出たけれど…=コスト削減に重点置く企業=経済成長とは無関係

2007年4月20日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】全国で失業者が九〇〇万人に達している中で、その半数が若者層で占められている。若者層は年々学歴を深めるにもかかわらず希望する就職への道が閉ざされており、今後もこの傾向が続くとみられている。カンピーナス大学(UNICAMP)の調査によると、二十五歳以下の若者が失業の半数で、「大学は出たけれど職はなし」の状態となっている。
 大学で経営学を専攻した二十四歳のサントス君は今のブラジルの典型的な姿といえる。二〇〇四年に大学を卒業、ポン・デ・アスーカルグループに就職したものの月給が七五〇レアルと安いため、一念発起してMBA(マスタービジネスのアドミニストレーション)の資格を取得した。
 これをもとに月給四五〇〇レアルの連邦公務員の試験を受けたが、不合格となった。その後印刷会社に七〇〇レアルの給与で就職し現在に至っている。しかしあきらめずに新しい就職口を探している。毎日インターネットの求人欄を調べ、労組の職業あっせん所にも足繁く通っている。
 サンパウロ州工業連盟では大企業ではますます狭き門となっており、経済成長と無関係にこの傾向は当分続くとみている。同連盟によると中小企業が一〇〇万レアル投資する毎に二十二人の新規採用が必要なのに対し、大企業は五人に抑えるという。
 これが最近では中小企業でも傾向が強く、いかに人員を補強せずに済むかが課題となっている。この背景には、これまでの量産体制から生産効率へと指針が変わり、いかにコストを下げて良質な物を生産するかという体質改善に重点が置かれていることで、雇用にも変化が生じていると指摘している。
 家電製品メーカー協会では、昨今のドル安で輸入品が当面の競合品となったことで、効率の良い自動機械の導入が増えたとし、このため必ずしも販売の増加が雇用増につながらないとして時代の推移を強調している。同業界では今年、販売予想を一三%増とし、雇用増は七%になると見ている。二〇〇六年度は一二%の販売増に対し八・五%の雇用増だった。
 機械業界では二月に雇用減少が表われている。昨年二月度は二一万二〇〇〇人だったのが、今年は二〇万九〇〇〇人で一・四%の減少となった。
 ほかの業界でも新製品への投資が行われるが、古い部門の生産を閉鎖してその従業員を回すことで、新規採用の道は閉ざされることになり、今年の雇用の伸びは期待できそうにない。