2007年4月21日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】ルーラ大統領は十九日に開かれた政策審議会で、自然環境保護院(IBAMA)の審査の遅れが原因で水力発電プロジェクトが一向に進展しないことに不満を爆発させ、同院幹部の更迭も辞さないとの強硬な態度を表明した。その上でシウヴァ環境相を含む関係者を召集して、善後策を検討することを発表した。
水力発電所などの工事開始には第一段階で同保護院が環境保全可否を審査して承認することになっている。この承認がない限り、プロジェクトは前に進まない。
ルーラ大統領の不満はロライマ州のマデイラ川流域に建設予定のサント・アントニオおよびジラウ水力発電所二基の審査のもたつきによるもので、大統領によると、このエネルギー供給は現在政府が進めている経済活性化法案(PAC)の土台として不可決なものだと位置づけている。
この二基の発電所で六四五〇MWの電力が工業界に供給されることで、今後の経済成長が年間五%維持できる鍵を握っているという。このためにはIBAMAの早急な承認が必要で、「これまでのようにナマズのせいにするな」と語気を荒げたと伝えられている。IBAMAは過去にナマズを始めとする魚類の生息を理由に、水力発電所の建設を承認しなかった経緯がある。
シウヴア環境相は大統領の非難を一身に浴びながらも非を認め、近日中にIBAMA幹部を入れ替えることを表明した。アマゾナス州労働者党(PT)党員のバーロスIBAMA総裁も辞意を固めていると伝えられている。
この機を逃さずブラジル民主運動党(PMDB)が総裁ポストを狙って根回しを始めたことで、PTから反発が出ている。PMDBは連立政権を理由に大臣ポストに続き、総裁や局長クラスのポストを入手すべくどん欲に動いている。今回の問題は意外なところで政局に波及する展開を見せている。