2007年4月24日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十三日】最高裁は二十二日、高等裁のメジーナ判事と判決を賭博業者に便宜を図る仲介をした関与者四人が十五日以内に抗弁をするよう命じた。同五人の他に司法特権を有する高等裁判事エルネスト・ドリアとジョゼ・E・アウヴィン、ジョゼ・S・レゲイラ、検察庁のジョアン・S・ペレイラ検事も同様、十五日以内に抗弁を行うよう命じられた。最高裁は期限の過ぎた後、起訴の可否を審理する。連邦警察はメジーナ判事が疑惑の中心人物であり、実弟を通して謝礼を受け取ったとみている。
最高裁の本法廷で審理されるのは二点。告発の立件性とソウザ検事総長の身柄拘束要請が妥当か、である。検事総長の告発が認められると、最高裁は五人を刑事犯かどうか審理する。
ビンゴ経営者や賭博業者に営業許可の便宜を図った組織の核は、メジーナ判事であると連警はみている。判事の実弟を通じて二〇〇六年に九〇〇台のスロットマシン営業許可を出し、一〇〇万レアルの謝礼を受け取ったことは、連警によって裏が取られた。
同判事は十六日、健康を理由に一時休職した。静養中の同判事を拘束したことで判事の顧問弁護士は、拘束が法的根拠も判例もなく、国民に怒りをそそのかし、ことの流れで被疑者を陥れる汚い策略だと非難した。
最高裁のペルーゾ判事は二十日、アウヴィン、レゲイラ、ペレイラ判事三人を釈放した。最高裁はメジーナ判事についても、懸念するような証拠隠滅や証人恫喝などの心配はないとして釈放する考えらしい。
カンピーナス労裁ドリア判事の拳銃不法所持による身柄拘束は行き過ぎだと最高裁はいう。判事の護身用拳銃は携帯が許されており、たまたま拳銃所持許可書を持参してなかったことでブラジリアへ連行はないという最高裁の見方だ。
十三日に賭博マフィア関与者二十五人が身柄を拘束された。四人は釈放され、二十一人は期限延長により勾留継続となった。身柄拘束を免れた三人は、現金一五〇〇万ドルを携え国外へ逃亡。連警はインターポールを通じて、三人の国際指名手配を行った。
一方ハリケーン作戦を指揮する連警は、メジーナ判事の実弟が経営する法律事務所で顧客弁護士に便宜を図ったとみている。弁護士の中には、イタウ銀行の法務担当弁護士も名を連ねていた。金融機関のトラブルでも同判事の世話になっていたらしい。
連邦高等裁のジップ判事は、汚職が三権の心臓部を蝕んでいると慨嘆した。組織犯罪とは政府高官が一枚かんで成立するもの。高官の介在なくして組織犯罪は存在しない。裁判所の聖域は過去のものという。
汚職の世界的傾向は、行政府や立法府の専売特許ではない。もちろん、検察庁や連警の中にも根を張っている。ハリケーン作戦は、肉を切らせて骨を断つようなもの。汚職の手口は前例が外国にあって、それをまねて国内で実行する。
犯罪組織は往年のようなマフィアが不要になった。上下議や判事、検察庁を抱き込めば、誰にでも濡れ手に粟の組織犯罪は構築できる。単純犯罪と違い組織犯罪は立件が非常に複雑である。そして、政府の全機関で「魚心あれば水心あり」である。