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ボリビア=ガス供給を一部停止=精製所、不法占拠さる=伯政府に衝撃、今後の不安も

2007年4月24日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日、二十二日】ボリビアからの天然ガスの供給が二十日、一部停止されたのを受けて、政府内に衝撃が走り、市場関係者の間に不安が広がった。幸いにもボリビア政府が事態を収拾、二十一日に正常に戻り供給が再開されたものの、いつ又事態が悪化するか計り知れず、関係者は懸念を表明している。
 今回の供給停止はボリビア国内で最大の天然ガスの埋蔵地帯である南部のグラン・チャコ州とオコノール州との間での原油およびガス採掘のロイヤリティの利権争いがエスカレートしたもので、一部の抗議集団が精製所を不法占拠して生産を停止したのが原因。これによりブラジルとアルゼンチンへの供給の一部が停止した。ブラジルはボリビアから日量二六〇〇万立米の天然ガスをパイプラインで輸入しているが、そのうち七%相当の一八〇万立米が供給停止となった。
 内訳はクイアバー市の火力発電所向けの一二〇万立米と、サンパウロ州のコンガス向け六〇万立米だった。両社とも二十六日分まで備蓄があるが、それ以降は混乱が生じるため、関係各省に緊張が走った。幸い二十一日午後、ボリビア軍隊が出動して不法占拠集団を撤去したことで供給が再開された。
 今回は大事に至らなかったものの、関係者は今後もかかる事態は不特定多数に及ぶと危惧している。ボリビア国内では反政府運動が活発化しており、今回の不法占拠が引き金になるとみている。
 さらに同国のモラレス大統領がベネズエラのチャベス大統領のバックアップの下、かなり強硬な「背伸び外交」をしていることで新たな難題を持ちかけることも懸念されている。いっぽうで、ルーラ大統領の腰くだけ外交も非難の的となっている。
 昨年五月にモラレス大統領が行った天然資源の国有化で、ペトロブラス(石油公団)の精製所を失った際もルーラ大統領は、「強者(ブラジル)が弱者(ボリビア)を援助するのは当然」と寛容な態度を見せたものの、その後ボリビアはガス供給価格の引き上げを敢行、最近では接収した精製所の代金は支払わないとの発言も飛び出している。
 ルーラ大統領もこれを認め、十九日に行われた政策審議会の席上で「モラレス大統領は変わった」として、ガスを含む二国間交渉がスムースに進展しないことに苛立ちを見せたと伝えられている。