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環境保全と経済発展は両輪=官房長官、一石投ず=環境保護院を暗に批判=地方自治体の協力求む

2007年4月25日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】経済活性化(PAC)計画の指揮者であるジウマ・ロウセフ官房長官が二十三日、ブラジルの環境問題はインフラ整備の必要に応じた、妥当かつ協調できる基準で対処すべきであると強調した。マデイラ河流域に建設予定の発電所二カ所に関する環境保全審査が遅延していることについて、同長官は直接言明を避けた。しかし、政府は環境への配慮を重要視するものの、経済発展と切り離された環境対策を考えることはできないと糾弾した。環境問題には環境保全と経済発展の二面があることを訴えた。
 雇用創出と二億人のブラジル国民に所得を確保する経済発展は、環境保全とともに車の両輪というのが官房長官の見解だ。ルーラ大統領は十九日、環境保護院(IBAMA)の審査遅れという対応に激怒した。ブラジルの生命線である重要プロジェクトは、慎重のあまり硬直化してはならないと訴えた。
 官房長官は二十三日、ミナス・ジェライス州のネーヴェス知事やベロ・オリゾンテ市のピメンデル市長と会い、マデイラ河流域が環境面で問題がなく開発が可能なことを知った。国際復興開発銀行(IBRD)の支援で、同流域の環境調査を専門家が行い、土壌侵蝕の心配はないことが証明された。
 官房長官は、PACの成功には経済開発に造旨が深い地方自治体と政府の協力体制が欠かせないことを痛感したという。地方自治体の協力なくして政府独自の努力だけでは、インフラ整備は頭打ちするばかりだ。官房長官は、上下水道計画や住宅建設でも同様の方法が肝要であると実感した。
 PACでもう一つのつまづきの石は、マラニョン州インペラトリース水力発電所建設工事の中止である。貯水湖予定地には、クラオースやアピナジェー、クリカチスなどの先住民が居住している。工事継続には連邦地方裁の仮判決が必要になる。同工事に対しては先住民の強い抵抗がある。
 裁判所の仮判決を巡って先住民保護団体が、IBAMAとヴァーレ・ド・リオドーセ社などの企業連合を相手取って訴訟を起こした。同工事現場は十六日、先住民や農地占拠運動(MST)メンバーらが十六日、工事続行に反対し、建設労働者の通勤を妨害した。
 連立与党のブラジル民主運動党(PMDB)が、IBAMA総裁にプリアンテ元下議を送り込んだのをシウヴァ環境相は拒否した。同院総裁は昨年十月、大統領とパラー州のカレッパ知事との間でプリアンテ氏起用で合意していたもの。また大統領は、国際的支援がある環境相に環境省の独立権限をも約束した。
 環境相は、政策のいざこざを政治力で乗り越えるのが不得手らしい。連邦警察ラセルダ長官のIBAMA総裁起用を同相は望んでいるようだ。PMDBはIBAMA獲得が頓挫したことで、矛先をフルナス(中央電力会社)に向ける模様。PMDBに毎度油揚げをさらわれた労働者党(PT)は、キナリア下院議長に不平をこぼした。
 大統領のIBAMAへの不満爆発をヨソに、PT党員は総裁ポストの争奪戦で遅れを取ったことを悔しがっている。お行儀よく待っていたのに、存在を忘れられたらしい。ベルゾイーニPT党首を囲んでポスト配分を話し合ったが、何も決まらず後手に回っていた。